自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第800回
ワインの諸々 78
今年は最初で最後だろう、アンリ・ジャイエ

月日が経つのは早いものです。
つい先日、700回を迎えたとコラムに書いたと思っていたのですが、
もう800回になってしまいました。
どうやら、あと200本、千回の一区切りまでは
よほどの事がないかぎりたどり着ける目処がたちました。

さて、以前のコラムでブルゴーニュの神様と賞賛された
ワイン生産者の「アンリ・ジャイエ」の本を紹介しました。
一生産者のことを
自国ではなく極東のワイン未開発の国で出して
売れるのかどうか心配しましたが、
購入した私でも内容が専門的なだけに、
じっくり読み込むには至っておりません。
やはりワインは読むのではなく飲むものだ、ということでしょうが、
先日この造り手のワインを飲む幸運にめぐり合いました。
ブルゴーニュワインにはまりだしたら
誰でも必ず憧れるといって過言ではないビッグネーム、
アンリ・ジャイエ。
ロマネ・コンティを出しているDRC社より
人気は高いかもしれません。
原則的にはもう引退してしまい、
新しいワインは市場にでてきませんから、レア度も大変なものです。
「リシュブール」という
ジャイエのフラッグシップに相当する畑のワインは、
同ヴィンテージなら
ロマコンより市場価格は高いものもあるようです。

私も陥ってしまうワイン好きの
「あれ飲んだ、これ飲んだ自慢」になる本日のコラム。
この造り手のワインを飲めた幸運はまったくの偶然でした。
知り合いと乗り込んだある有名シェフの食事会。
かなりの価格でもあり楽しみにしていたのですが、
まったくの期待はずれ。
自腹ですから予算が限定されていて、
一番安いワインをチビチビ飲んでいたところ、
隣の席に偶然別の知人一家が座られました。
彼はアンリ・ジャイエのコレクターでして、
一晩で5本、6本とあけてしまう
彼の会にも参加させていただいたのですがまさに豪胆な方。
当然この夜も所蔵ワインを持ち込んでいたらしく、
すっとソムリエが我々のテーブルに注ぎに来たのが
83年のエシェゾーでした。
大変ありがたく頂戴したのですが、
飲みながら考えたらなんと今年初めての「ジャイエ」でありました。
(勿論、ロマコンも今年は飲んでいません)
恐らく年内に飲む予定、いや飲める予算はなく、
今年最後のジャイエとなることでしょう。
料理は駄目でしたが、ワインですくわれた夜でした。

最後に私見を一つ。意見が分かれるところですが、
ジャイエは1987年で一度引退宣言を出しました。
借りていたリシュブールなどの畑を返還したようで、
88年以降から90年代半ば頃まで
限られた畑のワインを造っていたようですが、
数少ない経験から言わせていただくと、
87年を境に私は別物だと感じています。造りが変わった?
よって、このカリスマ造り手のワインは
87年以前が大変な価値があると思うのですが、
雑誌での煽りなどで
90年代のワインもかなりの値をつけているようです。

本日は「これ飲んだ自慢」でしたが、
具体的な氏名は書きませんでしたから、
「人脈自慢」としては成立しないと考えます。


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2005年10月30日(日)

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