自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第809回
銀座移転は今のところ成功だ、鮨 水谷 1

今年はじめ、関内の「よこはま 次郎」を閉め、
10年ぶりに銀座へ戻ってきた水谷氏。
「次郎」の小野二郎さんに了解を取ったのでしょうか、
かなり至近距離に移転してきました。

銀座へ勝負に出てきた鮨屋は
苦戦している店が多いのではないでしょうか。
その地である程度評価されていても、
レベルが高い店が多く集まり、
客層も異なる銀座はやはり別物のはず。
交詢ビルの「逸喜優」が集客にかなり苦労していることは、
このコラムでも何回か取り上げました。
その地では持て囃されても、銀座ではタネ質、技量とも傑出せず
埋没してしまうのは冷静に考えれば予想できることなのですが、
人間、誘われると舞い上がってしまうようです。
中野坂上から移転した「さわ田」も
夜2回転の完全お任せ3時間コースが
銀座に溶け込んでいるように見えません。
中野時代の常連客が一巡してしまい、
このシステムが受け入れられなかったのか
同じく集客に苦労しているようで、
最近は1万8千円での握りだけの昼営業を始めたようですが、
ツマミの豊富さがウリであった鮨屋だけに
握りだけで勝負できるのかどうか。

私の持論である、
「立地の悪さを味方につけた下駄履き評価」
を絶対評価と勘違いする料理人が後を絶たず、
どんどん都心へ移転してきて後悔しているようですが、
この「水谷」はオープンして10ヶ月、
評判、集客と順調なようで
いわゆる銀座では「勝ち組」と言えるでしょう。
「すきやばし 次郎」から独立して関内で10年、
「よこはま 次郎」である程度の評価を得、
満を持して銀座に凱旋してきた意気込みは、
自分の姓を店名につけたところからもうかがえます。

<明日につづく>


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2005年11月8日(火)

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