| 第867回今では普通レベルのフレンチ、ミヤモト 2
 実は昨年の早い段階で昼時訪問してある程度の友里としての考えは持っていたのですが、
 ジビエの時期、特に蝦夷鹿がおいしいとの
 巷の評価が気になりました。
 もしかしたら、ジビエの時期、
 蝦夷鹿だけは傑出しているのではないか、
 また早とちりしたら申し訳ないと考え、
 昨年末の解禁日以降の再訪問まで評価を封印していたのです。
 予定通り夜に蝦夷鹿を食する事ができましたので、
 早速コラムに取り上げさせていただきます。
 ランチでは3500円のコースで前菜がアラカルトから選べ、1千円追加すればメインも単品メニューから選べるなど選択肢、
 融通性はあります。
 しかし、昼訪問時、未だ客が入っていないからといって、
 ホールスタッフが客の席に座って談笑している姿には興醒めです。
 営業時刻になったならば、
 いつ客を迎えてもいいように身を引き締めていただきたい。
 西麻布の「田はら」という
 えらく高い居酒屋風の料理屋でも見られた光景ですが、
 美しいとは言えません。
 夜も6500円のコースにプラス2千円で蝦夷鹿に変更が可能です。前菜が2千円前後、メインが3〜4千円と、
 普請の割に単品は高めですから、
 同じ料理を食べられるなら
 追加を払ってもコースを頼むのが無難でしょう。
 ウリはアミューズ。何の変哲もない10種の一口料理の盛り込みですが、
 女性には受けそうです。
 でも見た目が可愛いというか、
 種類が多いだけでまったくたいしたものではありません。
 そして3皿の前菜が続きます。
 蟹とホタテのブランダードを、中をくりぬいたトマトに詰めて「天道虫」に似せたものは、
 やはり人気があるようですが、子供じみていて高級感がありません。
 こんなもので客を釣るということは、
 更なる上を目指していないと考えます。
 見た目は変わっていますが、味は想像の範囲内。
 フォアグラとトリュフの入った一口コロッケは、中がスープ仕立てですが、
 アクセントのポルト酒が強すぎる事があり安定していません。
 江戸前穴子とフォアグラのワイルドライスも名物のようですが、
 2回とも穴子が生臭く感じ、避けたい物のひとつです。
 しかし、追加を払った蝦夷鹿は
 質、調理法と傑出したものではないですが、まずまずのものでした。
 しかし、これだけの為に再訪するまでのものではありません。
 ワインはグラスシャンパーニュを含めて値付けは安い。1万円前後でまずまずのブルゴーニュが揃えてあります。
 適度に飲んで予算は二人で4万円以内でしょう。
 <結論>昔の名前でかろうじて持続しているフレンチ。
 もうベテランの域に達したシェフの料理に勢いは感じません。
 安定を好むお年を召した方には
 無難な味付けの料理と言えるでしょう。
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