ところが、工業になる と、狭い土地で間に合うようになったが、その代り大都市とか、大都市の周辺、あるいは、新しくエ業都市として開発された地区に集中するようになった。大企業が土地を買って新しい工場を建てる。すると、その下請け会社が周辺に、同じように小さな土地を買って、うんとスケールは小さいが、それなりに要求に見合った工場を建てる。いままで畑の真ん中だったところに、たちまちエ業地帯ができるし、その周辺に住宅地もできる。
たとえば親会社が、今までの工場では、設備も老朽化したし、工場も狭くなりすぎたので、思い切って郊外に一万坪の土地を買って工場を新しく建てることになった。土地の安かったころだから、土地は坪当り2000円で、合わせて2000万円、建物と設備のほうがうんと高くて8000万円もかかった。合計一億円を銀行から借りるために、都内にある本社工場を担保に入れ、さらに自己資金2000万円を両建ての一部として銀行に預金した。やがて工場が完成して操業を始める。時には、不況にぶつかって予定どおりに稼動しないこともあるが、やや長期的な目で見れば、売上げもふえたし、減価償却も順調にできて、借入金の元利もきちんと返済できるようになった。すると、また工場が手狭になって、工場の拡張が必要になってきた。
幸い、隣地の一万坪を坪一万円と以前よりずいぶん高い値段であったが思い切って買うことになり、また銀行に融資の申し込みに行った。今度は同じ一万坪が一億円になっている。しかし数年前、2000万円で買った土地も、隣地と同じ値とみても、一億円の値打ちがあるようになっているから「それを担保に入れましょう」と言えば、銀行も二つ返事でオーケーになる。土地のスペースが拡がったわけでも何でもないのに、地価が値上がりになっただけで、会社の含み資産がふえたことになるし、貸すほうも借りるほうも何の不安を覚えることもなしに、お金の貸借に応ずることができる。

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