ピラミッド型柔構造で変化に即応


下請けの系列化に力を入れる日本企業
会社は社員に愛社心や忠誠心を要求する代りに、社員の面倒を長期にわたって見なければならない。したがって社員をふやしていくことに極度に警戒的で、できることなら社員と雇員を区別したいし、その区別が許されないなら、会社にとってさほど重要でない仕事はすべてアルバイトやパート・タイマーにやらせるか、でなければ、
下請けに出してしまう。今日、一流企業の掃除係は出入り業者によって請け負われているし、守衛や警備業務はそれ専門の業者によって請け負われていることが多い。そうすれば、不要になったときに解約することができるし、他の業者と入れ替えることもできる。少なくとも働いている人々の退職金のことまで心配しないですむ。
このことは、その企業の本来の業務についても、合理化の一環として古くから行われている。日本の大企業は、鉄鋼、造船、自動車、家電のどの分野でも、パーツづくりや必要な作業のすべてを一から十まで自社内でやっているわけではない。どこの会社でも、細かいパーツの製造や組立ての作業は傘下にある下請け企業にやらせ、最も難しい部分とか、最も重要な作業は本社工場で行う。業種にもよるが、パーツが何百、何千にもわたると、出入りの下請けが何百社、何千社にもおよび、本社ではそのアッセンブルをしているにすぎない場合が多い。
生産会社がどこまでを自社内で生産し、どこから先を下請け会社に任せるかは、その製品の性質や数量によって、またどういう方針で臨むかによって違ってくる。単価の安い、細かいパーツは、自社内でつくるより下請けから買ったほうが安くつくから、ほとんど下請けに任せる。また完成品でも、少量多品種だと、いちいち作業工程を変えていては効率が悪くなるから、完成品までの工程をほとんど下請けに出すことがある。下請けに完成品までつくる技術があるなら、下請け自身が生産して
自分で販売すればよさそうなものであるが、有名企業と違って社会的信用もないし、
販売能力もないから、なかなかそういうわけにもいかないのである。
下請けを組織するに際しては、自分の会社から社員が独立してつくる場合もあれば、会社が出資して子会社を設立させる場合もある。むろん、既存のパーツ・メーカーを下請けにする場合もある。いずれの場合も、メーカーとの関係が密接になり、かつメーカーの発注量が一つの会社を存続させるに充分なだけの数量に達すると、どこのメーカーでも、系列化に力を入れるようになり、下請け会社が他のメーカーの仕事も受けることを嫌がる。トヨタはトヨタで、日産は日産で系列の下請け企業群を組織し、他社の仕事はやらせない。下請けがこちらの言うことをきかず、恣意的に値上げをしたり、注文どおりにパーツの納入をしてくれなかったりすると、生産に支障をきたすおそれがあるからである。
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