外人の評判も概して悪くはない。しかし、日本人の経営するホテルはほとんどが航空会社の系列下にあり、航空会社の団体客がそっくり連れてこられるので、日本人観光客をあてこんだ現地のホテルは期待はずれになり、「日本人は自分たちのおとした金を自分たちで丹念に拾って帰ってしまう」「日本人のとおったあとには草も生えない」と文句を言う人が多い。そうはいっても、サービス業は国家を背景とした業種ではない。その国の他の同業者と同じ条件の下できびしい競争に曝されるわけだから、優勝劣敗が自ずから決まってくるのである。
日本のサービス業が海外に進出してどういう評価を受けるかは、これから次々と答えが出てくる。ある時期、日本は戦争による空白を埋めるために、生産、流通、サービスのすべての分野でアメリカ式の経営を取り入れてきた。自動車でも、テレビやクーラーでもアメリカに学び、アメリカに追いつき、やがてアメリカ市場で、アメリカ製品を駆逐する役割を果たすようになった。サービス業の分野でも、マクドナルドとか、ケンタッキー・フライドチキンにみられるように、アメリカのチェーン・システムやセントラル・キッチンを導入し、日本国内にアメリカ式のチェーン店を定着させることに成功した。
しかし、日本人のやり方はいつもそうだが、アメリカのシステムを模倣するだけでなく、より合理的な改良やもっとお客の嗜好を考慮に入れた創意工夫がプラスされる。マクドナルドができれば、和風のモスバーガーもできるし、小僧寿司やロイヤル・ホスト、すかいらーくのような和風、もしくは西洋風チェーン・レストランも出現する。やがてこうしたアメリカ式のチェーン・システムが体制をととのえてアメリカ大陸に上陸することも起るだろう。いや、それより一足先にべニハナがアメリカで和風ステーキのチェーン店を展開して見事な成功をおさめている。なぜべニハナが成功したかというと、日本料理をアメリカに持ち込んだからではなく、アメリカ人の常食とする牛肉をアメリカ人より美味に調理して、アメリカ人よりよいサービスをして人気を呼んだからである。こうした切り口で臨めば、日本のサービス業が世界の各地で、メイド・イン・ジャパンの工業製品と同じような成功をおさめることはそんなに難しいことではない。

<来週に続く>
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