東南アジアの国々で、そういった財をなすチャンスを握るのは、現地のネイティブよりも大抵は華僑出身者である。現に東南アジアで生産から流通まで経済界の実権を握っているのはほとんど華僑であり、経済界の変化や
金儲けのチャンスに敏感なのもこれらの人々である。
もともと流通業界に位置して物流に従事してきたから、日本製品が売れるとみるや、
まずそれぞれの地域で日本のメーカーの販売に従事することからスタートした。そのうちに、日本企業も現地の販売会社をつくる気を起す。アメリカなら一○○%出資の販売会社が設立できるが、東南アジアだと、道案内が必要だから、今まで代理店をしてくれた人にも参加してもらうことになる。それでどうやら順調に推移するようになると、今度はいよいよ
現地生産をやろうじゃないかということになり、従来のいきさつからいっても、
現地の代表が株主に名を連ねるようになる。
ところによっては、現地の出資者が代表者となり、日本から派遣された経営の責任者は総経理(社長)の地位につく。現地の出資者に日本的な会社経営ができるわけもないし、その点、本人たちも心得ているから、経営はすべて日本側に任せ、社交的に会社を代表する場合とか、銀行のハンコを押したりする場合だけ、会社を代表する。それでも、会社が利益を上げれば、出資比率に見合う配分にはあずかることができるから、
日本人の力を借りて財を築くチャンスには恵まれる。
どうしてそういうことになるかというと、海外での新しいプロジェクトは、新しく富をつくる
作業にほかならないからである。日本人は自国内で手さぐりの状態で工業生産を始めたが、工夫改良しているうちに、欧米の先進国を追い抜いて他に比類のない生産システムをつくりあげた。それが日本人の日常生活を潤し、かつ日本人を豊かにした。日本人によってつくり出された自動車やテレビは世界中に売り出され、外貨をもたらし、日本人がそのお金を使って外国の生産物を買えるようにしたが、日本人が外国から買うものはほとんどが食料や原料で、稼いだお金のほんの一部で事足りたから、日本人は余ったお金で外国に投資のできる身分になった。たまたま日本人がつくって外国に売り出した商品がよく売れるといっても、まだ全世界の隅々まで普及したというわけでもないし、現地生産に切り換えて、土地柄に合わせた価格設定をすればもっと売れることは目にみえている。とすれば、円高になって国内生産が採算に合わなくなったことも手伝って、いっそ現地に工場をつくって現地生産をしようじゃないかという動きが一大潮流となる。それは、先にも述べたように、日本国内でやったことの再現であり、すでに成功をしてきた実績があるから、成功の確率はきわめて高い。そういう事業のなかにうまく割り込んで、果実の分け前に
あずかれば、きわめて高い確率で金持ちになれる。
事実、シンガポールやタイで大きなビルやホテルを建てている華僑に「どうやって儲けたのですか?」ときいてみると、大抵は、日本の大メーカーの代理商からスタートし、稼いだお金で不動産に投資をしたという人が圧倒的に多い。この意味で、日本企業の海外進出の過程で、それと組んだ人たちはそれぞれ現地の新興財閥となった。日本企業の海外進出が続く限り、金儲けのチャンスはまだ世界中のあちこちに残っているといってよいだろう。

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