プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第28回
タンス株券と一緒に持参
―「取得価額・取得日」把握のための確認書類

タンス株券(上場株式等)を
「特定口座」に組み入れる際に
証券会社がタンス株券の「取得日」と
「取得価額」の両方を確認できた場合には
その「取得日」「取得価額」により、
「取得日」だけが確認できた場合には
その「取得日の終値を取得価額」として特定口座に入れます。

証券会社は当該株券を持ち込んだ人が
一定の書類等を示してくれませんと
タンス株券の「取得価額等」を把握することができませんので、
タンス株券を持ち込む個人投資家が
「取得価額等」を証明する書類を持参することになります。
その場合に適切な確認書類であるとして
課税当局が認める書類の要件を以下に説明します。

1.証券会社が「取得日」と「取得価額」
  両方を確認するための書類

  特定口座を開設している証券会社が、
  タンス株券の「取得日」と
  「取得価額」の両方を確認するための書類には、
  正式な書類だけでなく私的な書類も含まれます。
  証券会社から出された取引報告書や
  取引残高報告書・受渡計算書、
  証券会社の顧客勘定元帳のコピーはもちろん
  確認書類になります。

  従業員(または役員)持株会で取得した株式については、
  持株会が作成した
  「取得日と取得価額」がわかる書類ならOKです。

  その他、個人投資家自身が取得の際に
  「取得に要した金額・取得年月日・銘柄・数・その他の事項」
  を記載した日記帳やメモも、
  「取得日と取得価額」を確認する書類として認められています
  (昔を思い出して今から日記帳を書くのはだめ、
   これは当然です)。

  なお、個人投資家はその日記帳やメモ
  またはこれらのコピーに住所・氏名を記載し
  押印する必要があります。
  証券会社は、日記帳やメモが正しいかどうかは
  判断できませんので、個人投資家自身の記名押印が
  求められているのです。

2.証券会社が「取得日」だけを確認するための書類
  タンス株券について平成15年3月末までに
  名義書換えが行なわれている場合は、
  その株券のコピー(名義書換した日が記載されている)が
  証券会社が「取得日」を確認するための書類となります。
  そして、名義書換の日を取得日とみなして、
  「名義書換の日の終値」を「取得価額」とします。

ところで個人投資家の日記帳やメモは
「取得日」だけを確認する書類としては
適切なものとは認められません。
つまり、「今日、○○会社の株式を1000株100万円で買った」
と日記帳に書いてあれば
上記「1」の「取得日」と「取得価額」の両方を確認する
確認書類として使えますが、
「今日、○○会社の株式を1000株買った」
としか記載されていない日記帳は
「取得日」を確認する書類としては使えないわけです。
ご注意ください。

なお、証券会社が「取得日」「取得価額」ともに、
または「取得日」を確認しなかった場合には、
「平成13年9月30日」を「取得日」、
「平成13年10月1日の終値の80%」を「取得価額」としますが、
この場合は確認書類は一切不要ですので、
タンス株券だけを証券会社に持参すればよいわけです。

執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎


←前回記事へ 2003年6月27日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ