プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第78回 生前贈与のための新相続税制
新制度を選択して成功
「親の思いを託し、子どもに資産を直接手渡し」

平成13年度版の国税庁統計年報書
(いわゆる納税白書)によりますと、
平成13年中に相続で取得した財産額は約13兆2670億円。
これに対し、同年中に贈与で取得した財産額は
僅かにその10分の1、約1兆3450億円に過ぎません
(この金額は申告書から把握したもので相続、
贈与ともに基礎控除以下の財産取得は含まれていません)。

自分が死ぬまで財産はビタ一文、
子どもには渡さない、
こんなお考えの方も
中にはいらっしゃるかも知れませんが、
これは少数派だと思われます。
にもかかわらず、
相続財産と比べて贈与財産が
圧倒的に少ない原因の一つは、
相続と比べ、贈与の税負担が
割高であったことにあると思われます。

さて、新制度を利用して贈与した場合と
新制度は利用しないでそのまま相続が発生した場合とでは、
相続税、贈与税トータルの税負担は変わらない、
この話は既にご説明したとおりです。
では税負担が変わらなければ、
新制度は利用する意味がないのでしょうか??
そうではないと思います。
節税ができるかどうかという以前に、
新制度ができたことで一番大きく変わるのは、
贈与税が割高であったが故に、
今まではできなかったまとまった財産の生前贈与が
これからは可能になる、という点です。

新制度を利用すれば
生前に財産を子どもに直接手渡しできる、
自分が死んだ後ではなく、
今現在の自分の気持ち、思いを込めて、
子どもたちに財産分与することができるのです。
仮にすべての財産を生前贈与すれば、
自分が死んだ後、
財産争いが起こる可能性はゼロになります。

そんな極端なことはしなくても、
何度かに分けて様子を見ながら贈与、
老後資金を含めて
相続の時まで自分がもつべき財産についてだけ
遺言を書いておく、
こんな選択も可能になったのです。

今回から数回にわたり
「新制度ができて本当に良かった」、
「こんなとき新制度を利用すれば効果的」、
そんなケースをご紹介します。

執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 佐伯草一
監修:公認会計士 山田淳一郎


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