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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第103回 生前贈与のための新相続税制−中級編
養子である孫が新制度を選択、将来かかる相続税は2割増

子供にだけでなく、
孫にも財産を遺したい
という方もいらっしゃると思いますが、
この場合に考えられる方法としてはまず「贈与」があります。

贈与による場合、年間基礎控除額110万円、
累進税率適用といった従来の贈与の方法も
もちろん利用できますが、
祖父母と孫が養子縁組した場合で、且つ年齢要件
(「65歳以上の祖父母」から
 「20歳以上の孫」に対する財産の贈与であること)を
満たしていれば、
新制度による贈与を税務上選択することもできます。

但し、新制度を選択し実行しておいた場合には、
贈与者の相続発生時に「相続税の2割加算制度」が
適用される点にご注意ください。
すなわち、将来の相続発生時には
新制度による贈与財産を持ち戻して
相続税を計算することになりますが、
相続税額の算出に際し孫は
相続税の2割加算制度の適用を受け、
相続税額は通常の2割増となります。

次に「遺贈」、遺言により
相続発生時点で祖父母の財産を孫に渡す方法があります。
この場合にも新制度による贈与と同じく、
孫は相続税の2割加算の対象となります。

さらに、孫に財産を渡す方法として
祖父母と孫で養子縁組を行い、
相続発生時点で孫に財産を「相続」させる方法があります。
これまで養子である孫は相続や遺贈により
祖父母の財産を取得しても
相続税の2割加算制度の適用はありませんでしたが、
平成15年度税制改正により、
養子である孫についても
同制度が適用されることになりました。
つまり、2割加算の対象にされることに変わりました。

このように、祖父母から孫へ財産を渡す方法は
様々ありますが、
1.養子縁組をして新制度による生前贈与を行う場合、
2.遺贈する場合、
3.養子縁組をしておいて相続時に財産を相続させる場合、
いずれも共通して孫に対し
「相続税の2割加算」が適用されます。

唯一、2割加算の適用がないのは従来の贈与、
即ち、毎年贈与し、その贈与額から
110万円の基礎控除を差し引いた額に
贈与税率を乗じて贈与額が課税される贈与です。
したがって、相続税が高額となる資産家は
孫に対しては従来の贈与の方法が
効果的なケースがありますのでご注意ください。

なお、孫の親(祖父母の子供)が
祖父母の相続時に既に亡くなっている場合、
つまり孫が祖父母の財産を
代襲相続人として取得する場合には、
相続税の2割加算の適用はありません。

執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 山本武尊
監修:公認会計士 山田淳一郎


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