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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第105回 生前贈与のための新相続税制−中級編
新制度で贈与された自宅敷地、相続税「小規模特例」の対象外

相続税には、
相続人の生活基盤の維持という観点から、
事業用又は居住用宅地等のうち
必要最低限と考えられる部分について
評価額の一定割合を減額するとする考えに基いた特例が
設けられています。
これを「小規模宅地等の評価減の特例」といい、
具体的には次のパターンがあります
(いずれかのパターンで限度面積まで適用可。
 また限度面積内で各パターンを組合せることも可能です)。

1.特定事業用宅地等

  被相続人が事業(不動産貸付業等を除く)の用に
  供していた宅地等を親族が取得して
  申告期限まで引き続きその事業を営んでいる場合や、
  被相続人と生計を一(※)にしていた親族の事業用宅地等を
  その親族が取得し相続開始前から申告期限まで
  引き続き自己の事業の用に供している場合には、
  当該宅地等のうち400mまでの部分につき
  相続税の課税価格の80%が減額されます。
  ※「生計を一」とは「家計を共有している」といった意味の
    税法用語となります。

2.特定居住用宅地等

  被相続人の自宅敷地を被相続人の配偶者が取得した場合や、
  被相続人と同居していた親族がその宅地等を取得して
  申告期限まで引き続き居住している場合、
  また被相続人と生計を一(※)にしていた親族の自宅敷地を
  その親族が相続開始前から申告期限まで
  引き続き自己の居住の用に供している場合等においては、
  当該宅地等のうち240mまでの部分につき
  相続税の課税価格の80%が減額されます。
  ※「生計を一」とは「家計を共有している」といった意味の
    税法用語となります。

3.特定同族会社事業用宅地等、国営事業用宅地等

  被相続人の同族会社や国の事業の用に供されていた宅地等で
  一定要件を満たす場合には、
  当該宅地のうち400mまでの部分につき
  相続税の課税価格の80%が減額されます。

4.その他の事業用宅地等

  不動産貸付業、駐車場業などの用に供されていた宅地等のうち
  200mまでの部分につき
  相続税の課税価格の50%が減額されます。

新制度による贈与財産は
相続時に相続税の計算に持ち戻すことになりますが、
当該贈与財産に対しては
この特例を適用することはできません。

したがって、相続時においてこの特例を適用すべき宅地等を
新制度で贈与しておくことは得策ではありませんので、
土地の贈与に際しては
「小規模宅地等の評価減の特例」の対象にした方が
有利と考えられる土地を
贈与の対象にしない、とする検討と判断が重要です。

執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 山本武尊
監修:公認会計士 山田淳一郎


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