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          第7回 
          計算高く数字に強い中国人 
        よく中国人は“計算が速い”と耳にすることがあります。 
          しかし、この言葉よりも、 
          もうひとつよく耳にする“計算高い”の方が、 
          私としてはしっくりきます。 
          意味は全く違いますが、 
          どちらも中国でビジネスをしていると 
          時々その言葉が脳裏をよぎります。 
        詳しい専門データなどでは僅かな差があるのかもしれませんが、 
          日常生活における数字に対する基本的レベルは、 
          日本人も中国人もさして変わりありません。 
          例えば中国独特の“m2/日/○USドル”といった提示家賃を、 
          月/人民元に置き換える時も、 
          私もスタッフも大家も仲介会社もみんな電卓に向かって 
          一生懸命数字を打ち込んでいます。 
          ただし、数字に対する見方はかなり異なったものであり、 
          それが原因で 
          中国人は“計算が速い”や“計算高い”など、 
          数字に強いイメージが 
          あるのではないかと思います。 
        私が強烈にそれを実感した出来事があります。 
          ある日の会議に、売上目標の達成を成し遂げるにあたって、 
          達成報奨金をスタッフの皆に提示したことがありました。 
          あまり複雑な計算方式もわかりにくいかと思い、 
          極めてシンプルなものでした。 
          それは、仮に20万元の売上げを達成したら、 
          スタッフに一律200元の報奨金を支給するというものです。 
          思いがけない提案に皆の表情も明るくなり、 
          なんだかいい感じです。 
        その次の瞬間、 
          スタッフの会話から思いがけない言葉が耳に入ってきました。 
          「じゃ、スタッフが50人いるから、実質の目標は19万元だ!」と。 
          そうです。 
          損益分岐を瞬時に割り出していたのです。 
          落着予想が19万元であったとしても、 
          スタッフが自費で消費すれば20万元に達することができます。 
          そうすれば、満額とまでいかなくても 
          サービスを受けた上に、 
          いくらかの報奨金を手にすることができます。 
          目標が達成されるのであれば、 
          会社としても充分な利益がでるので、 
          それはそれでいいかと思いましたが、 
          日本ではなかなか無い発想ではないでしょうか? 
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