第31回
SARSでも経済や企業業績は好調を維持
3月も中盤を過ぎて、
H株銘柄が次々と
2003年本決算発表を行っています。
H株の再評価が急速に
進んでいる背景には、
当然、H株銘柄の業績好調という
要素は見逃せません。
H株のほとんどの銘柄で
増収増益となることが
予想されています。
03年春には新型肺炎SARSが
まん延しましたが、
中国経済に与える影響が限定的であって、
先に発表された中国の03年の
経済成長率は実に9.1%、
経済的な過熱も心配されるほどで、
これも大きな問題なのですが、
基本的には高度成長路線が
継続されていること、
よって、各産業が堅調に推移している、
というのがもう一点。
SARSという厳しい試練がありましたが、
そうした中でも、
いえ、そうした中だからこそ
企業努力が促進され、
コストの削減を図り、
結局は好業績へとつながる
という好循環が生まれた、
というのが一点。
これらの要素で、
今後も続々発表される
H株の決算発表には
大きな期待をもてます。
特に私が評価したいのは、
企業側の努力が本格化してきていることです。
現在までに、香港も含めて、
中国の株式市場は、
マクロ経済との連動性が低くなっています。
いくら高度成長を実現していても、
株式市場は鳴かず飛ばず、
という状態です。
日本を含めて、諸外国では
ありえない現象といえます。
これには複雑な要因が絡みあっており、
一言ではいえませんが、
最も大きな問題としての
市場の構造的な問題のほか、
上場企業がマクロ経済の好調を
存分に利用できていなかった、
という側面は見逃せません。
まだまだ国有企業的な体質が残っていた、
ということでしょう。
企業努力はしなくても、
何とかやっていけた、
というのが今までの中国の企業だったといえます。
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