第33回
過熱が心配、成長ブレーキで構造調整
中国では2003年に9.1%という
あまりにも高水準な経済成長を遂げたため、
経済過熱が心配されています。
具体的には、
無駄な投資が急増しており、
それが将来、大きなマイナスとなって
跳ね返ってくることが危惧されています。
特に好調産業としての鉄鋼などに
多くの資金が振り分けられるのは
当然の流れといえますが、
投資額が大きくなるだけに、
その中にはやらなくてもいい投資も、
相対的に多く含まれることになります。
鉄鋼もそうですが、
特にセメントなどで顕著なこととして、
零細企業が中国全土に分散してしまっており、
市場のパイが非常に非合理的に
分散されてしまっているという現状があります。
そうした現状に加えて、
無駄な投資が重なれれば、
悪循環が加速度的に拡大していくことになります。
そのため、
中国政府では2004年の経済成長目標を
7%としています。
03年実績と比べて大幅に
下方修正するものです。
過熱を最も心配しているのは
中国政府だということを示しています。
今まで、中国政府は闇雲に
経済的な規模を大きくすることに
腐心していましたが、
この9.1%という高水準な成長を受けて、
経済成長の質的な転換を図るべく、
構造調整に乗り出したといえます。
主要産業への投資の規制も
辞さない構えを示しています。
この規制が具体的に
どのように影響するかはまだまだ不明ですが、
例えば鉄鋼産業にとっては
ある程度のブレーキになることは
予測されます。
一方で、こうした規制が逆に
市場の浄化につながり、
株式上場しているような有力企業にとっては
プラスに働く場合も中国ではあります。
政府としても、
上場企業は育成していかなければならず、
上場企業に対しては、
無理なことはできない
という側面もあります。
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