第311回
確固とした信念、精神的な強さなくば事なさず

軽い気持ちで中国人青年と
「台湾問題」論争を始めた台湾女性、
その後、どうなるのでしょうか？

■ 中国のウェブサイトのある書き込み−第４回

驚きや戸惑いは消えて、
彼女は沈黙した。
何か考え始めているようだった。
そして、彼女が言ったのは
私を再度驚かせる言葉だった。
「そうした人々をあなたは知っているようだったけど、
　ほかの中国大陸の人は
　必ずしも知っているとは限らないじゃないの？」

呆れて空いた口がふさがらないとはこのことだった。
それでも取り直して、彼女と約束した。
「この研究室や大学にも
　多くの大陸から来た人々がいる。
　そうした人々に狼牙山五壮士や
　国民革命軍の英雄について
　知っているかどうか聞いてごらん。
　もし一人でも知らない人がいれば、
　今後ランチをご馳走するよ」

この台湾女性は非常にまじめだった。
次の日から、大陸の人に
次から次へと質問を投げかけているようだった。
ただし、答えは当然明白だ。
彼女が話を聞いた人は、
それぞれに彼女に対して英雄の講釈を行い、
彼女はわずか２日間で、
８人から同じ英雄伝を
延々と聞かされることになった。

私は、
「なぜ男性にばかりに聞くの？
　英雄の話は大陸男性だけの特許じゃないよ」
というと、彼女は、次の日には
大陸の女性４人に話を聞きに行った。
結果は当然、彼女はまた４人から
抗日英雄伝の講義を受けることになった。

私は、指導教授に
彼女についての評価を求められ、
はっきりと「失格」を伝えた。
それは、彼女が台湾独立を望む輩だというわけではなく、
台湾独立を望むにしても、
彼女自身、私が認めうる確固とした信念がなく、
そうした精神的な強さがなければ、
研究も何もうまくいかないことを
知っていたからだ。