第423回
「金のなる木」炭鉱に頼る地方自治体の景気対策
地方自治体の幹部や
公務員自らが炭鉱のオーナーとなって
うまい汁を吸うということもあれば、
地方自治体の行政全体で、
違法炭鉱とは知りつつも、
採掘を黙認するケースもあるようです。
中国は全体として
経済的に高成長を遂げているとはいえ、
地域差がかなり深刻です。
特定の地域は、マイナス成長で、
非常に不景気な状態が続いていることも
珍しくありません。
労働力の大都市の流入などもあわせて、
過疎化に悩む地域もあります。
そうした地域が景気対策の一環として、
今や「金のなる木」である
炭鉱の違法採掘を黙認するばかりでなく、
奨励することすらあるのが中国の現実なのです。
中国では1次エネルギーの70%以上を
石炭に依存しています。
原油高が、中国の輸入量の増加を
原因の一つとして考えられるようになって、
中国における石油利用が
普及したような錯覚に陥るかもしれませんが、
中国では今でも、さらに今後しばらくは、
圧倒的に石炭需要が強いものとなることは
想像に難くありません。
製品ニーズの堅調さは、
中国株関連銘柄にとっては追い風となります。
これはよく言われていることですが、
一方で、前回も紹介したように
炭鉱採掘業の混乱は極みに達しています。
利権のために人命が軽んじられる現状について、
中国現地世論でも
かなり不満や非難が高まっています。
中央政府も、地方政府の統制が効かないというのは
すでに言い訳にはならなくなってきており、
抜本的な解決をしなければ、
社会不安につながりかねない情勢です。
どちらにしろ、
どの程度の規模になるかはともかく、
業界全体に整理縮小の嵐が
吹き荒れるのは目に見えています。
その時に、どの程度の影響で
食い止めることができるかが、
中国株の石炭セクターにとっても
非常に重要なポイントになってくるはずです。
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