第507回
中国大陸の富豪の富、香港への移動が加速の予感

前回ご紹介した
「遺産税(相続税)撤廃に反対する香港の大富豪たち」
について、
中国大陸ではその理由をどのように分析しているか、
といえば、至極まっとうな見解です。

世界的に大富豪というものは、
それがスケールが大きくなればなるほど、
相続税撤廃には反対する。
彼らが自分で築き上げた巨富を、
子孫たちが何も努力せずに得ることは、
その子孫自身のためにはならないためだ。
香港の大富豪たちも
そうした考え方によるものだろう。

ビル・ゲイツ氏や
バフェット氏の例を引き合いに出して、
上記のように説明しています。
ここで終わってしまえば、
「なーんだ」ということになります。
私のような人間では、
上記の理屈は分かっても
いまいち納得できないものもありますが、
上記は正論ですし、
突出した大富豪であればあるほど、
上記のような考え方をすることもうなずけます。

しかし、中国大陸の分析では、これに続いて、
「中国でも改革開放を通じて、
 富豪と呼ばれる人が多くなってきた。
 中国の富豪も、香港の富豪や世界の富豪を真似て、
 巨富を得た後の社会的な貢献を真剣に考えるべきだ。
 富豪は自分の子どもたちなどの考え方ややり方について、
 香港や世界の富豪から
 真剣に学習しなければならない」
としています。

これも啓蒙文としてはやはりまっとうです。
そうあるべきだ、
というのは誰も反対はしないでしょう。

しかし、考えてみれば、
あえてこういうことを
言わなければならないというのは、
こういうことが実現しづらいためである、
ということを示しています。

だから、この啓蒙文は本来、
「香港で相続税が撤廃されれば、
 多くの中国大陸の富豪が、
 何らかの形で香港に財産を
 移動させることになるだろう
 (法的には財産の海外への移動は
  かなり制限があるが、方法はいくらでもある)。
 彼らは、香港の富豪のような考え方をしないからだ。
 だから、香港で相続税が撤廃された後の
 中国大陸の富豪の財産移動には
 注視しなければならない」
と解釈したほうが良いのかもしれません。

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2006年2月1日(水)

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