日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第10回
飽食中国

十数年前、日本に来た当初の頃は
「飽食日本」という言葉をよく耳にしました。
良いことか悪いことか、
「飽食」という言葉をたった十数年のうちに
そのまま今の中国(全地域ではありませんが)に当てはめることは
夢にも思いませんでした。
いまの中国の都会の若者には理解してもらえませんが、
私が小さかったときは全然物がありませんでした。
特に食べ物は悲しいくらい不足していました。
肉も、お米も、食用油も、衣類も全て
配給チケットがなければ買えませんでしたし、
国営の肉屋の前にいつも長い列で並ばれていました。

日本に来た頃、私は23歳でしたが、
よく話題の合う日本の友人は同世代の日本人ではなく、
むしろ50代くらいの年長の方々ばっかりです。
当時、自分でもおかしいと思いましたが、
今思えば、同じ生活体験を持つ人間同士にとって
ごく当たり前のことかもしれません。
言い換えれば、その頃、中国と日本の経済的格差は
実に30年以上も開いていました。
だが、そういう時代はもはや過去のものになろうとしています。
久しぶりに上海の大型スーパーの食品売り場に行けば、
買い物客で賑わっています。
新鮮な果物や野菜がこぼれんばかり積み上げられ、
塊のままに置かれた肉や丸ごとの魚が
よりどりみどりに置かれています。
冷凍食品棚には、北京ダックや肉団子、餃子、肉まん、
商品棚には調整済みの丸焼きチキン、チャーシュウ、豚耳など、
人々の食欲を誘うものばかり並んでおり、
ケーキやビスケット、チョコレートや甘栗などの様々のおやつが
商品棚に溢れています。
に余るほど日本のどのスーパーよりも「モノ」が溢れています。

そもそも食べ物に目のない中国人は、
豊かになったとたん、まず食品の消費に走り、
その次はファッション、家電、
そして自動車、住宅などの大型耐久消費財に目を向けます。
全国小売総額は年20%弱で推移しており
90年には8000億人民元、2000年には3.5兆人民元、
2005年は6.7兆人民元にもなりました。
こうした旺盛な消費ブームに対し最近日本の経済週刊誌は
「暴食中国」という言葉さえ使うようになりました。
豊かになった中国は本当に消費し始めたら、
本当に恐ろしいほど大変なことです。
消費分野で成功している企業は数多くあります。
国美電気(香港0493)、聯華超市(香港0980)、
百盛集団(香港3368)、蒙牛乳業(香港2319)、
青島ビール(香港0168)、中国糧油(香港0506)
などにすこし注目したらいかがでしょうか。


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2006年5月12日(金)

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