日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第9回
中国の利上げと株式市場

中国人民銀行は突如、2006年4月28日から
金融機関の貸出基準金利(短プラ)を0.27%引き上げ、
現行の5.58%から5.85%まで引き上げることとし、
預金金利は現状維持とする、と発表しました。
マクロコントロールの成果を強化するためと
中央銀行は説明しましたが、
エコノミストの中には、
今回の利上げはマーケットに明確なメッセージを伝えるのが目的で、
4、5月にマクロコントロールの効果が現れなければ、
更に利上げを続行する可能性があると見ています。
利上げの影響を受けて
中国と香港の株式市場は一時共に下げ幅を拡大させており
非鉄金属、不動産、鉄鋼及びセメントなどの株式を中心に
下げ始めました。
今回の利上げは株式市場への悪影響が避けられず、
特に一部の業界に大きなインパクトを与えるになるだろうと
マーケットは見ています。
利上げの発表を受けて国際金属価格は既に下げ始めました。
非鉄金属関連株には下振れの圧力が大きくかかるであろうし、
不動産、航空、公共事業など借入れに頼っている関連株や
鉄鋼、セメントなどの関連株も影響されるだろうと思われます。

資金の投資効率から見ると、
A株市場で運用されている資金は貸出金利を基準としており、
貸出金利が上がれば、必然的に
機関投資家の投資リターン目標を引き上げることとなります。
株式市場は既に相当上がった段階に、
これ以上の投資リターンを求めることはリスクが伴うため、
機関投資家の追加投資意欲を減少させ、
資金の流入を減らす結果となります。
一方、既に利益を得た投資家は
利食いに転じて一時的に資金を撤退する動きもあるだろうと、
専門家は分析しています。

28日の終値をみると、
上海A株とB株をカバーしている上海証券指数は1440.22で
1.66%上がりましたが、上海B株指数は0.39%下がり、
深センB株指数は0.61%下がりました。
利上げは不動産株に不利に働き、
不動産株はB株の中に大きなウェイト占めているためと
専門家は見ています。

今回の利上げは経済の過熱を未然に防ぐための措置であり、
中長期的に中国経済にプラスの影響を与えるだろうと
私は見ていますが、
短期的に株式市場や不動産市場への影響を
注意深く見ていく必要があると思います。


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2006年5月9日(火)

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