日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第12回
中国の格差経済―消費市場の不思議

スターバックスコーヒー1杯は25元、
中国ローカールファストフードショップの夕食は8元、
ナイキの運動靴は400元、地元ブランドの運動靴は39元、
有名ブランドのTシャツは500元、地元ブランドのTシャツは25元、
上海の庶民向け分譲住宅は平米あたり5千元、
浦東の高級分譲マンションは平米あたり8万元、
トヨタのクラウンは60万元、国産ブランド乗用車は8万元、
上海辺りのブルーワーカーの月給は800元、
高級ホワイトカラーの月収は1万5千元から3万元以上・・・
平均10倍ぐらいの格差は
中国の同じ地域でもごく普通に存在しています。
内陸部にいくと、30倍〜100倍?
格差はますます拡大していきます。
中国経済は格差の上に成り立っている
といっても過言ではありません。

日本の一部のマスコミや学者は
中国の経済格差を憂慮する向きがありますが、
「杞憂」にすぎないと思います。
中国の歴史を見ても
「平等」や「中流意識」は存在した時代はありません。
「出る杭が打たれる」、
他人との違いを嫌う日本人と違って
中国人は他人との違いを徹底的に追及する風潮があります。
中国の消費マーケットを見る時に、
13億の人口を持つ中国の国情を忘れてはいけません。
13億人は一度に豊かになることはできません。
経済格差があったからこそ
他人の生活ぶりを見て
俺も頑張ろうというようなプラス志向になります。
最も重要なことは、経済格差が中国経済の原動力です。

最近、2006年第一四半期の中国の中国貿易黒字額は
41.4%増の233億ドルと報じられました。
豊富で安い人口資源があるからこそ実現できたと思います。
世界の工場になった中国は
もはや「やすかろう、悪かろう」の時代に
別れを告げようとしています。
「ほどほどの品質を世界一安い価格で」
というビジネスモデルは中国のあらゆる産業にありうる話です。
ですから、中国製品は
東南アジア、中南米、アフリカ、中東でよく売れています。
中国は日本と違って、輸出は全てではありません。
13億人の巨大な消費マーケットをバックに
どんなものを作ってもらっても
世界一安い価格で作ってしまうのです。

中国のこうした多層消費構造と経済格差は中国経済を支えています。
中国経済を理解する際、
ここのポイントをまず抑える必要はあるのではないでしょうか。


←前回記事へ

2006年5月19日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ