中国人と日本人 邱永漢

「違いの分かる人」へのヒントがあります

第3回
こんなにも違う中国人と日本人 その2

飯の炊き方が日本と中国ではまるで違う。
日本では飯を炊いている途中に蓋をあけて中を覗こうものなら、
えらく叱られてしまう。
薪のくべ方だって、「はじめちょろちょろ、なかパッパ」
と細かいところまで神経を使っている。

ところが、中国人は米食の歴史においてはおそらく
日本人よりずっと長いと思うが、
昔は土鍋、今は普通の鍋に多量の水を加えて火にかける。
お湯が沸騰してくると、いきなり蓋をあけて、
おたまでなかをクルクルと混ぜかえす。
地方によっては、のり状のお湯を汲み出して、
それをスープとして飲む習慣のところもある。

私は台湾に育ち、日本風の飯の炊き方になれていたので、
香港に住むようになって、
阿媽(お手伝い)さんが御飯を炊いている最中に
鍋の蓋をあけていきなり混ぜくり返したのには、
とびあがるほど驚いた。
こうしてできあがってきた中国風のご飯は、
さらさらしていてあまり味がない。
日本人の好みにはあわないかもしれないが、
チャーハンやカレーライスにして食べる時は
素直に味つけに応えてくれるので、日本米よりおいしい。
ただ残念なことに、「お米は一粒たりとも入れない」
という前時代的なコメ議員さんたちが頑張っている限り、
日本人が日本国内でこの手のお米にめぐりあうチャンスは全くない

次に、できあがってきたご飯のよそい方が
中国人と日本人ではこれまた違う。
中国にはしゃもじというものがない。
汁をつぐおたまと同じものでご飯をよそう。
そのよそい方が茶碗山盛り、ときている。
日本人は仏様にお供えをする時だけ、そういうよそい方をする。
普段は「軽く一膳」というように、八分目か、それ以下によそう。
中国人はあれを見ると、「ずいぶんケチケチしていますね」
「たくさん食べられるのが心配なんですか」と言って笑う。

一膳食べ終わってお代わりをする時も日本人と中国人とでは違う。
お代わりをしようとする時、日本人はほんの一口残す。
それがお代わりをしますという意思表示になる。
中国人にはそういう習慣がないから、
ご飯をついでくれる人は最後の一口が終わるまでじっと待っている
ご飯のよそい方一つでも、これだけの違いがあるのだから、
一緒に食卓を囲むと生活習慣の違いはいっそうはっきりしてくる。





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2012年8月8日(水)

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