第50回
延年長寿は健康の最終目標だ

中医学の経典著作である『黄帝内経』の中に
下記のような対話が記載されています。

黄帝の質問は、
「私が聞いた事では、
 ずっと昔の人はみんな百歳を超えても
 動作が衰えなかったというが、
 今時の人は半百(50歳)にもかかわらず
 体が衰えるようになってしまったのは、なぜですか?」。

対する岐伯の答えは、
「昔の人は養生の道理をわきまえ、
 自然規律に基づいて
 いろいろな方法を使って体を整えて行ったそうです。
 節度をもって飲食したり、
 規則的な生活をしたり、
 過労にならないようにしたりしました。

 だから肉体と精神はともに完全に揃っていて、
 生きるべき年まで生きて百歳を越える事が出来ました。
 しかし今時の人は、
 何をするにもやりすぎる事を平常として行います。
 酒がおいしい物と思って過量に飲み、
 酔ってから房事にふけり、
 欲望を満たすために無制限に精気を使い果たし、
 真の元気を消耗させてしまっています。
 …こんなことだから、
 五十歳になるかならないかで衰えてしまうのです。」

中国伝統文化では
「健康」という単語を用いて
はっきり記載してこなかったので、
現代医学のように詳しいデータによる
健康象(健康に関するさまざまな事象)を書くことも
中国の歴史の中にはありませんでした。

しかし、上記の文章内容のように
長寿になりたいという願望は昔からありましたので、
如何にすれば達成できるのかという観点から
中国独特の健康文化のシステムが
形成されてきたものと思われます。
その健康文化システムとは中医学というものです。

病気からできるだけ遠く離れ、
予防し、延年長寿になることは、
王侯貴族にとっても平民大衆にとっても
等しく追求するものではないでしょうか。
始皇帝が不死草を求めて
人を派遣して彼方此方へ探させたことは
皆さんもご存知でしょう。
この長生不老という言葉は
今日に至ってもよくわかる言葉です。

病気にならなければ健康になり、
健康になれば長寿になれます。
健康長寿という言葉は現代中国語で、
健康と長寿を併用しています。
健康は長寿になるための前提とし、
長寿は健康の最終目標であるということです。


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