第51回
長寿になることは養生をすること

寿命を延長させることは、
古くから人々に共通する願望だろうと思います。

中国の伝統的な考え方では
生命は一つの過程であると考え、
ちょうど天気のような自然現象と
同じことだと認識しています。

天気が刻々と変化するように、
生命の過程の中にも様々な状態が現れてきます。
またそれらの状態は転化することも可能なのです。
生命の発展に影響を及ぼす、
あるいは抑制するような現象が起きている状態を
病気状態といいます。

これとは逆の状態にある場合は
無病状態といい、
これが現代でいうところの
健康という状態のことです。

延年益寿になるためには、
病気状態の期間をできるだけ短くし、
更には病気状態になることを減らし、
生命を脅かす様々な病気状態を
調節しなければなりません。

しかし病気になってから治療するのではもう遅いのです。
それは口が乾いてから水を求めて
井戸を探すのと同じことです。

ですから、中医学でも
“不治已病治未病”理論が臨床基本となっています。
こうした病気の予防、
健康状態の維持を行なうことは、
中国の伝統的な養生という考え方です。

養生と同じ意味を持つ名称は古代から幾つかあり、
例えば「摂生」「道生」「養性」
「衛生」「保生」「寿世」などがあります。
養生の養には、補う、養う、整えるなどの意味があります。
生には、生命、生存、生長などの意味があります。
ですから、養生とは生命を調和し、
養護するという意味です。

つまり延年長寿になることとは、
病気にならないように調節し、
健康状態を維持する養生をすることであり、
それは一時的、短期間のものではなくて、
一生を通して行なうものなのだと思いませんか?


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