第53回
養生とは精気神を養うことだ−「気」

前回は体にとって大事なもの
「精」を紹介しました。
そして今回は「気」を紹介したいと思います。

「気」という言葉は、
日本の皆さんも
日常的な話の中でも良く使っているので、
ご存知だろうと思います。

「気」とは中国の伝統的な考え方で、
自然界の発生、発展、
それから転化をさせる物質のことです。
当然のことながら人間の体にも深くかかわっていて、
この「気」の作用によって
生長、発育、生殖、動きなど、
さまざまな生命活動を行なっています。
ですから「気」は
生命活動の最も基本となる物質と
動力であると見なされています。

生命活動の中のあらゆるところで
気の働きは現れています。

一つめは、エネルギーのような働きをして、
生成生長発育などの生理活動と新陳代謝を促進し、
体を温め体温をコントロールします。

二つめは、防衛のような働きをして、
体外の邪気と闘います。

三つめは、体内の液体物質
(血液、汗液、尿液、精液など)を固く守り、
コントロールします。

「気」の生成については、
以前にも導引に関する文章の中で
紹介したことがありますが、
もう一度簡単に紹介します。

精と同じく気にも
先天と後天の二つの源があります。
先天の精と一緒に親からもらった気を
先天の気といいます。
また、生まれてから取り入れる気には
呼吸における自然界の清気と
飲食における水穀の気があり、
この二つの気を後天の気といいます。

「精」は静止的な生命の基礎物質であると言えますし、
「気」は運動的な物質であり、
生命活動の基礎物質であると言えます。
気の運動形式は昇・降・出・入です。
この気の運動は「気機」と呼ばれます。
これは一旦気機が止まってしまうと
生命活動も中止状態になってしまうという意味です。

宋時代の有名な医書「聖済総録」には
次のような経験が記載されています。
「人の生命というものは、
 気の原因により元気になり、
 気の原因により病気になる」。
このように養生では
「気」を整えることも大切だと思います。


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