第73回
『太極導引』練習が強調する「意」とは

『太極導引』練習の特徴として、
肢体を動かす時や呼吸を行う時に「意」を強調することがあります。
この「意」とは
想像、知覚、感覚、判断、コントロールなどをつかさどる
神経、脳が働くことです。
力(筋力、体力)や情緒精神にかかわるような内容は参入しません。

他の運動や日常的なごく普通の動作をする時も
意識しながら行ってはいるのですが、
それらと『太極導引』練習の「意」とはどこが違うのか、と言ったら
両者の目的の違いによって区別されるのだと思います。

一般の運動や普段の動作を行う場合の目的は、
動いている身体そのもの、いわゆる自身に的をおくというよりも
姿勢の正確さや綺麗さ、動作完成の速度や強さなどといった
身体の外部表現を目指しています。
たとえ身体に対しての要求、動作を行う過程に
注目があったとしても、
それは外部表現を完成させるためのものです。

『太極導引』における肢体動作はかなり多くて複雑です。
このため姿勢の正確さや
速度、リズムなどの方面に対しての要求もあります。
けれども動きの目的は、身体内部を整えることであり、
命にとって大事なものである「気血」を
和らぎの状態へと調整することです。
その目的のために、
想像、知覚、感覚、判断、コントロールなどをつかさどる
神経、脳を動かして、
体内から、意識から全身を協調して、バランスを良好に整えます。


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