第74
『太極導引』の練習中に「意」の働き

太極導引を練習する際、
要領の一つとして「用意不用力」と強調しています。
これは練習を行うことは筋力ではなく、
「意」で司ることの意味です。
この「意」がどのような働きをするのかといえば、
簡略に言うと心身の状態を調整することです。
さらにそれを具体的に言えば、
「企画・実施・確認・修正」という四つの内容があると思います。

“企画”の内容とは、
練習の基準を設定することです。
主に精神状態(心)の落ち着き、
呼吸のリズム及び動作の流れ
という三つの方面の基準をイメージして設定することです。
企画を行う時期は、
導引練習が始まる前、
或いは、ある動作を動かす前にやるようにします。

“実施”の内容とは、
企画した基準を練習中に実践することです。
一つ一つの具体的な動作を行う時に
イメージした精神状態、呼吸状態、身体動作の状態を
演じることです。

“確認”の内容とは、
実際に動作を動かす時の状態と
予め企画した基準となるイメージとを比べて、
過不足のあるところを見つけることです。

“修正”の内容とは、
確認によって見出された
基準から外れた過不足のところをやり直すことです。
しかしそれは、
その過不足が見つかった動作をもう一度やり直すことではなく、
套路の進行そのものを止めないで、
つぎの動作を練習する時に、
前の動作でずれていた状態を整えることです。
こうしたやり方も『太極導引』鍛錬の特徴であります。

「意」の行うことを強調する『太極導引』鍛錬は、
練習開始から終了までの間
「企画・実施・確認・修正」を繰り返して行うことで、
心身状態を整え、特に精神状態の穏やかさを調整します。


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