第80回
『太極導引』鍛錬の難と易 その一

ここで言っている「難」と「易」は、
困難、難しいことと簡単、易しいことの意味です。

『太極導引』の鍛錬について
動作及び練習要領は確かに少ないわけではありません。
短期間で全部覚えて、実施ができ、
さらに身につけることは
誰でも簡単だと思いません。
毎日鍛錬を続けて行って、何ヶ月、何年と経て
徐々に進むべきことです。

つぎに、『太極導引』鍛錬を行うことは
意識・呼吸・動作三者を高度的に協調しながら行うものですので
一朝一夕的に把握することでもありません。
日常食事中に、箸或いはスプーン、フォークを持って
食べ物を口に運んで、口をあけて、食べ物を口の中に入れることは
生まれつきではないでしょう。

それから『太極導引』鍛錬の特徴として
「放松」状態をしたままで鍛錬を行うことは
人間の自然な生理反応とは逆のことです。
突発事件や緊張などの時
心臓の拍動が速くなり、血管が収縮し、汗をかき、
筋肉が強張り、肩が上がる等の身体反応が出て来ます。
『太極導引』の鍛錬は
精神状態を落ち着かせ、身体状態を緩めることを目標とします。
こういうふうな自己コントロールも
わずかな期間内にできることではありません。

また、三日坊主という人間の特性があります。
健康づくりの方法とする『太極導引』の鍛錬は
やればやるほど健康効果が出ます。
しかし、仕事や家事などの様々な影響がありますので、
毎日のように鍛錬を堅持することは簡単なこととも言い難いです。


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