“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第37回
山椒魚

8月にオランダのアーネム市に行ったときには、
素晴らしい蛙の足の料理にであった。
腿を唐揚にしてあるだけなのだが、
繊細な旨みが溢れ出る肉質には感動した。
素材の味を引き出すための、
ガーリックと塩だけの味付けもとてもよかった。

蛙とはちょっと違うが、山椒魚もとても美味だ。
栃木市にある「酔魚菜」(よいとな)という居酒屋では、
山椒魚をそのまま串に刺して姿焼きをしてくれるが
これがとても美味。
山椒魚は十数センチの小さいトカゲのような形をしていて、
最初に口の中に入れるのは、やや勇気が必要だが、
思い切って噛んで見ると至福が訪れる。
山椒魚の肉質は繊細であり、微妙な旨みが感じられる。
酔魚菜の焼き加減はとてもよく、
ぷちっと噛んで、断面をみてみると
中は半生状態のピンク色が美しい。

平家の落人部落で有名な栃木県の湯西川温泉でも
山椒魚を出す宿が多いが、
こちらは味噌焼きで山椒魚の持ち味を完全に消している。
山椒魚の肉質はとても繊細な味で、
味噌をつけてはその真髄は分からなくなってしまう。

酔魚菜の調理は繊細な味が最大限引き出されるように
単純に塩で焼いているだけだ。
この店はまた、春頃なら岩魚料理がとてもいい。
これは日光の中禅寺湖で
自然に近い形で養殖している岩魚を用いて、
塩焼き、唐揚、骨酒などの岩魚尽くしも味わえる。
骨酒は特に秀逸で、これまで飲んだもののなかで最高の旨さだ。

魯山人の本には、
いまでは天然記念物になってしまったオオサンショウウオが
とても旨いという話が載っている。
小さな山椒魚でもあれだけ美味しいので、
オオサンショウウオはもうたまらぬ美味しさに違いない。
残念ながら合法的に食べることはできない。
食べたことのない食材は、
余計食べてみたいのが人情だが我慢するしかない。


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