“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第38回
包丁を揃えて魚を捌こう

京都の錦市場に行くとかならず寄る店が二つある。
一つは京野菜の「かね松」で
もう一つは包丁の老舗である「有次」だ。
最近は有次で尺1寸の本焼きの柳はを購入したが、
とても使いやすくて満足している。

包丁の語源は中国の古書「荘子」にでてくる。
台所をあらわす「庖厨」に、
料理での刀使いの名人の名「丁子」をつけたものが
簡略化されたそうだ。
その包丁だが、魚をうまく卸そうと思ったら、
出刃と柳刃の2本を揃えるといい。
ともに片刃で、骨に沿って身をはずしたり、
断面鋭く刺身を切ることができる。

和包丁の本格的なものは「本焼き」と「霞焼き」の二種類ある。
家庭でよく置いてある文化包丁などは
ステンレスのプレスで大量生産して作ったものもあるが、
これは刃を研いでもあまり切れるようにならない。
本焼きと霞焼きがどう違うかというと、
本焼きは日本刀と同じで全て鋼でできている。
霞焼きは鋼を軟鉄が挟む構造の刃になっている。
で、本焼きが本物の包丁かというと、
素人には霞焼きで十分であり、使い易い。
というのは、本焼きは研ぐのが大変で、
1本を研ぐのにプロでも1時間はかかる。
霞焼きは素人でも簡単に砥げる。

プロが本焼きを使いたがる理由は、
霞焼きよりも研がずに刃が長持ちして、面倒でないからだ。
素人は出刃、柳刃をそうしょっちゅう使うわけではなく、
霞焼きでも切れ方は本焼きのものと遜色ないので、これで十分だ。
いくらくらいの包丁を買えばいいかというと、
霞焼きだと1万円ちょっとでまあまあのものがある。
プロでも数千円の包丁を使って、見事な仕事をしている店もある。
あとは、砥石を荒砥、中砥、仕上げ砥と三種類用意して、
使い終わったら小まめに砥ぐことである。

マイ包丁を持つと、魚を扱うことが楽しくなる。
まずは、出刃、柳刃を揃えよう。


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