“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第40回
湯豆腐の美味しさ

豆腐をどう食べるか?
夏は冷奴にビールという人が多いだろうが、
私は夏でも湯豆腐で食べることが好きだ。
温めたほうが豆腐の旨みを味わえるからだ。
それに、燗酒を合わせると猛暑でも身体が元気になってくる。

なぜ、火を通すと旨く感じるかというと、
人間の味覚の温度感受性によるところが大きい。
人間の味覚は舌や、その他の口のなかに味細胞があって、
そこで化学反応がおきて、味が脳に伝わっていく。
そのセンサー部分は味蕾(みらい)と呼ばれているが、
甘さ、しょっぱさ、苦さなどの違った味を感じる味蕾は
舌の上の分布する場所が異なる。

つまり、飲み物、食べ物を舌の上の単一の場所で味わっては、
総合的な味わいは分からない。
それ故、利き酒は口の中全体に
酒がいきわたるようにしてやることになっている。

さて、人間が甘さを感じるのは温度によって大きく影響を受ける。
冷たい温度では甘さの感度は低く、
温かくなるにつれて感度が高くなってくる。
他の酸味、苦味などは温度による感度の変化は少ない。
それ故、湯豆腐や燗酒が美味しく感じられるのだ。

湯豆腐はなるべく単純に調理するのが美味しい。
昆布の出汁で豆腐、椎茸、甘塩鱈(たら)などを入れて熱する。
三つ葉を最後に添えると上品な味になる。
それを、醤油をその湯豆腐の鍋の汁で割ったものを、
鍋の中央に配した器に入れておいて冷めないようにして、
そこに豆腐、鱈、椎茸をつけて、熱々で食べるのがいい。

さらに、美味しく湯豆腐を食べるには、
豆乳を鍋の汁に加える方法がある。
豆乳は豆腐と同じメーカーのものがいいことはもちろんだ。
以前紹介した宮城屋の豆腐と豆乳を使った湯豆腐は
天下一品である。

春夏秋冬、どの季節でも湯豆腐は美味しい。


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