“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第75回
山陰の美味、「とうふ竹輪」

竹輪というと、
おでんの具くらいにしか思い浮かばない人も多いと思うが、
地方によって竹輪の形態が色々と違うのは面白い。

徳島では「竹ちくわ」という竹輪があり、
文字通り竹に通したまま売っている。
この徳島の竹ちくわも旨いが、
先日カルチャーショックを受けたのは、
鳥取の「とうふ竹輪」だった。
これは、全体材料の7割が豆腐を使っていて、
残りの3割が魚肉である。
豆腐の風味をいかに出すかというところに、
メーカーのこだわりがあるようだ。見た目は普通の竹輪だ。

鳥取県の千頭町にある諏訪酒造を訪問したときに、
東田社長から「とうふ竹輪」の話を聞いた。
地方の名産を聞いて試さない手は無い。
諏訪酒造からの帰りに鳥取駅で「とうふ竹輪」を買ってみた。
そして、城崎へむけて山陰線のなかで、
「とうふ竹輪」と諏訪酒造でいただいた諏訪泉純米酒を
味見することになった。

「とうふ竹輪」を長細いまま、まるかじり。
感触が普通の竹輪よりは随分柔らかい。
豆腐に魚肉の風味が溶け込んでいて、
やさしさのある味わいが口のなかに広がっていく。
豆腐は白和えで食材の旨みを引き立てる
脇役的な役割をも果たすが、それに似ている。
脇役がしっかりと仕事をして旨みを出している。
もちろん、諏訪泉純米とはとてもいい相性であった。
このときには、城崎の蟹づくしの饗宴が待っていたので、
わずか一本しか買わなかったのが残念だった。
また、鳥取には「あご竹輪」という
トビウオを使った高級竹輪もあり、
そちらも旨そうだったのを断念したのは、
間違いだったかも知れない。

地方で普通に売られている名産品に、
飛び切りの旨さを発見することはよくある。
初めての体験が美味につながったときに、
本当にここに来てよかったと感じるものだ。


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