“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第95回
絶品のイチゴ

寒くなってくるとイチゴの季節到来だ。
イチゴというと
春のイチゴ狩りというイメージが強いが、
最近では一番美味しくなるのは2月前後だ。
私は栃木県に以前の勤め先があったこともあり、
「栃乙女」というイチゴをよく食べる。

イチゴを食べるときに先の方と、
ヘタのある根元のほうと、
どちらから食べるのが美味しいだろうか?
たいていの人は何も考えずに
先のほうから食べていると思うが、実は逆。
ヘタをとって、根元側から先に口に入れるのだ。
イチゴは先端が甘くて味が濃いので、
まずは、味のうすい根元から口にして、
だんだんと甘みを感じるようにしたほうが旨いという仕組みだ。

この食べ方を教えてくれたのが、
都賀で栃乙女のイチゴ農園をやっている刑部さんだ。
刑部さんのイチゴは
見た目もぷりっとしていて立派で、
ミネラルたっぷりの甘みと酸味のバランスがすばらしい。
普通のイチゴに比べると、瑞々しくて力強い。

刑部さんに秘密を聞くと、普通に栽培しているだけだという。
確かに農園をぱっと見ても
特別な仕掛けがあるようには見えない。
おそらく、単位面積あたりの株数を少なくしたり、
剪定を丁寧におこなったり、
農薬を使わずに逞しく育てるなどの、
工夫と努力のたまものなのだろうが、
本人はあえて特別なこととして語ろうとはしない。
これは、企業秘密というより、
当たり前のことをしているだけという
自負からくるのだろう。

栃乙女のライバルは佐賀県の「豊の香」だ。
このように地域の農産物は、
その地方の農業試験所が改良をして、
それを農家が栽培するといった
密接なチームワークに支えられている。
佐賀県がいいイチゴを開発すれば、
次に栃木がそれをしのぐものを出すといった、
競走が品質を確実に向上させている。
美味しいもの好きにとっては、とても嬉しい競争だ。


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