“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第104回
美味しい焼鳥屋はどこか

地鶏を美味しく食べるのに、まず思いつくのは焼鳥屋だ。
焼鳥は実に庶民的な飲み屋であり、
気楽に食べたり、飲んだりできる。
しかし、ハズレの焼鳥屋に間違って入ってしまうと、
鶏の旨みがなかったり、必要以上に脂こかったりして、
後悔することになる。

焼鳥屋は学生時代から色々と行ってきたが、
美味しいと思った店は、
渋谷「森本」、
銀座「武ちゃん」、
八重洲「伊勢廣」、
数寄屋橋「バードランド」だ。
池袋「母屋」、
千住「バードコート」、
大阪「あゆむ屋」はまだ行っていない。
「門扇」はいつか行こうと思っていたら、
店が閉まってしまった。

「森本」は昔よく行った。
いつでも満席で、入るまでに少し時間がかかるが、
庶民的で風情のある店内。
鶏の旨みを引き出す焼き方がしっかりとできている。
鰻の串焼きも美味しいが、
焼鳥屋のタレ焼きは
鰻屋を真似たものだという説の証かもしれない。
少人数でささっと飲んで食べるにはいい。
欠点は信州のあまり造りのよくない地酒しか置いていないこと。

「武ちゃん」は森本よりもさらに満席度が高く、
席につくまで待たされるが、
シンプルな焼鳥と菊正宗の樽酒の相性がなんともいえずいい。
「伊勢廣」は値段が高めだが、
ゆったりと焼鳥を楽しめる。
ただし、コースを全部食べると
最後のほうは脂のしつっこさが口に障るようになる。

一番好きな焼鳥屋は「バードランド」。
阿佐ヶ谷時代からよく通っている。
奥久慈軍鶏は脂分が少なく、旨みが凝縮していて、
かつ、嫌味な雑味が全く感じられない。
また、レバーパテなどの料理も秀逸で、
これまでの焼鳥屋という概念を超えた店だ。
バードランドではワインよりも日本酒のほうが
鶏料理に合うと思うが、
残念ながら、ほとんどの客はワインを飲んでいる。
竹鶴、神亀という燗に向く日本酒のラインナップを
焼鳥と一緒に味わってこそ、この店の真価がわかる。
最後の親子丼、それに、ダメ押しのプリンが
幸せの仕上げをしてくれる。

店主の和田さんとは飲み仲間だが、
知り合いだから紹介するのではなく、
美味しいから友達になった。
和田さんの凄いところは、
店内の30席くらいの客の状況を常に把握していて、
次にどの席にどの焼鳥を出すかということを逆算して、
焼き台に串を乗せる順番、タイミングを調整している点だ。
焼鳥を食べていて、途中で合間が長すぎるとしらけるからだ。
値段が高すぎるという批判をよく聞くが、
この店は普通の焼鳥屋の価格と比較すべきではない。
私は高級フレンチ、高級割烹に行くよりも、
「バードランド」で焼鳥と日本酒を楽しむほうが好きだ。


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