“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第108回
蝦夷鮑は本当に旨い

蝦夷鮑は直径10cm程度と小さい鮑だ。
しかし、種類は黒鮑と同じ。
北海道の海水は冷たいので、大きくはならないそうだ。
身体が小ぶりなためなのか、味が凝縮している。
以前、札幌にある鮑専門店の「鮑の源太」で、
蝦夷鮑の水貝、刺身、すり流し、焼き鮑などの
鮑つくしを堪能したことがある。
どんな料理でも美味しいと感動したものだ。

今回のバンドのOB会では、
生のものと、火を通したものの両方を食べ比べることにした。
蝦夷鮑は小さいので、大きなマダカ鮑よりは捌くのは楽だ。
塩をまぶして、タワシでこすって汚れをとる。
ペティナイフで貝柱を切り、肝ごと鮑を取り出す。
数が多かったのと、肝をつぶさないように丁寧に捌いたので、
結構な時間がかかった。

まずは刺身にする。
こりっとした、硬い食感で
噛むごとに口のなかに甘みが溢れてくる。
あらためて蝦夷鮑の旨みに感激する。
マダカ鮑のような上品な香りはやや不足しているが、
味わいはマダカ鮑よりも濃い。

火を通す料理として、
肝をからめたステーキにすることにした。
色々なやり方が考えられるが、今回はまず肝を炒める。
バターを大量に使い、最後に醤油で味付け。
醤油をフライパンにかけると、シャーと湯気が登る。
ここで加熱を止めないと醤油が焦げ付くので、
すぐに皿にあげる。

肝の香りが漂うフライパンにさらにバターを追加して、
蝦夷鮑の貝柱部分をステーキのように焼いていく。
周りが熱くなり、なかが半生程度の状態にして皿に盛る。
これに、さきほど炒めた肝を包丁でこまかくして、
鮑ステーキにソースとしてかける。

思ったとおりだった。
火を通すと蝦夷鮑の旨みがさらに増す。
バターと肝と醤油の味付けもとてもよかった。
肝の上品な香りとバターの旨み、
それに醤油味が溶け合っていて、
貝柱の甘みをやさしく包んでいる。
自分でいうのもなんなのだが、
最近食べた料理のなかでも秀逸のできであった。
また、近々、北海道から蝦夷鮑を取り寄せて、
同じ調理法で食べてみたい、と思わせる味。
皆さんにも大好評の正月の一夜であった。


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