“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第132回
鮟鱇(あんこう)鍋は肝が決めて

鮟鱇鍋は料理屋で食べると結構な値段をとられるが、
家庭でやれば極上の鮟鱇を安価な価格で堪能できる。
鮟鱇を卸すのは場所が限られている場合は
「吊るし切り」と言って、
鮟鱇の口をフックでひっかけて上から紐で吊るし、
口から水を腹に入れて皮が張った状態で捌く。
広い場所がある場合は、
他の魚と同じように俎板の上でさばくところもある。

素人は鮟鱇を吊るす場所も困るので、
捌いたものをパックで仕入れることになる。
これでも十分旨い鮟鱇鍋を味わえる。
どこの鮟鱇がいいかというと、常磐が有名だ。
例えば、那珂湊の市場では
冬の時季は鮟鱇をどの店も置いているが、
頼めばその場で卸してくれる。
また、電話やFAXで注文を受ける店もあるので、便利だ。

私は、以前は鮟鱇は那珂湊から取り寄せていたが、
最近は小樽の三角市場に頼むことも多くなってきた。
常磐の鮟鱇と北海道の鮟鱇はいくらか味わいが違う。
どちらが旨いというよりは、個性が異なり、
常磐のものは淡白ななかにしっかりとした味があり、
北海道のものは雑味が少なく綺麗な味わいが楽しめる。

いずれにしても、食べる人数に合わせて
取り寄せる量をお店に電話して相談するが、
その卸したパックとは別に、肝をある程度の量だけ入れてもらう。
鍋に使う出汁は昆布と鰹節でとり、それに味噌を和えるが、
肝をすりつぶしてそのなかに加えると、とても旨くなる。

鮟鱇の身は七つ道具と言って、
皮、胃袋、肝臓、顎肉、卵巣、
やなぎ(尾の白身)、とも(尾鰭)と、
鋭い歯以外は全て食べられる。
それぞれ個性があるが、いずれも淡白な味わいなので、
出汁を味噌、肝を和えて、
出汁の旨みが身に十分浸みるように煮るのが旨いわけだ。
肝を和えるのは、神田「新八」でやっている技だが、
その準備のステップにこだわりがある。
次回は美味しい鮟鱇鍋の作り方を紹介する。


←前回記事へ 2005年2月15日(火) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ