“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第141回
割烹料理の美味しい蕎麦屋

拙書「蕎麦屋酒」では蕎麦屋を何種類かに分類して紹介した。
そのなかで、料理の美味しい蕎麦屋として紹介した
「三合菴」(さんごうあん)に最近行って見た。
日曜に妻と芝居を見たあとに夕方訪問した。
午後5時半の開店時間に到着し、
30分くらいの間にどんどんと席が埋まっていく人気度を
相変わらず持っている。

加藤さんの料理は相変わらず安定している。
加藤さんが以前勤めていた新宿「吉遊」は
「ミニ竹やぶ」というような店であったが、
「三合菴」は加藤さんが独自の境地を拓いているいい店だ。
蕎麦屋は種物の食材を利用した
シンプルな酒肴しかださない店が多いが、
ここはきちっとした割烹料理が提供される。 

これは、加藤さんが「吉遊」をやめてから
本格的に日本料理の修業をしたことだけではなく、
加藤さんの人一倍の日頃の努力によるところが大きい。
というのは手打ち蕎麦屋というのは、
蕎麦打ちの手間が結構かかるので、
築地で仕入れをして、下準備をするという
割烹の仕事をやる時間はほとんどない。
それを、加藤さんは蕎麦屋の仕事と割烹の仕事と
両方こなしていて、寝る時間はほとんどないようだ。

当日注文したのは、5500円のコース。
最初の具が入っていないシンプルな茶碗蒸しは
寒い日には身体と心があったまり、ほっとした気にさせる。
その後続く数種の小皿で提供される料理も派手さはないが、
落ち着いた旨さがにじみ出てきて、燗酒によくあう。
蕎麦掻はふっくらとした食感で、香味がすばらしく、
最後の蕎麦切りは味わいが秀逸だ。

このような、まともな割烹料理が楽しめる店としては、
烏山の「典座」(てんぞ)もなかなかいい。
あとは、最近よく行く「大木戸矢部」。
新宿の花園と新宿御苑近くの二店あるが、
先日は新宿御苑の近くの店に行ってきた。
カウンター7席にテーブルが2卓。
小さな店だ。
この店のおまかせ5000円もとっても秀逸だ。
出汁がしかりととってあって、
どの料理もおちついた味わいが楽しめる。

蕎麦屋はシンプルな酒肴で長居はしないと
「蕎麦屋酒」で書いてしまったが、
割烹料理の美味しい蕎麦屋もまたいいものだ。


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