“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第145回
真鱈の白子

真鱈の白子は何にしても美味しい。
新鮮なものを湯引きして、ポン酢で食べると
最高の酒肴になるし、天麩羅も旨い。
熱々の衣のなかから
ジューシーな白子の甘みが溢れてくるのがたまらない。

面白い食べ方としては、周囲に小麦粉をまぶして、
それをフライパンで炒めて回りを硬くし、
その状態のものを炭火で焼く方法だ。
直接焼くのは白子の周りが破けて、汁がでてしまうので、
周囲を炒めて固めるわけだ。
こうすると、
周囲のカリカリした感触を噛み破ったときに溢れ出す、
熱々の白子の旨みが、とても意外性があって、
二段階の美味しさを楽しめる。

しかし、白子の食べ方で一番好きなのは、鍋だ。
これも、なるべく単純な具だけで行うのがいい。
白子の味わいは上品なので、
他の魚類を加えると純粋な白子の旨みが分かりにくくなる。
以前、冬の雪深い時季に、
長野県の木崎湖の友人の別荘で、
バンド練習の合宿を行ったことがあり、
そのときに築地場内で魚介類を仕入れていって、
夕食に白子鍋を作ったことがある。
このときには、昆布で出汁をとり、
醤油、味醂で味を調えてから白子を入れ、最後に野菜を加えた。
汁がとても美味しく、その汁が白菜に絡んで、
なんとも言えない旨みが口のなかで踊るよう。

バンドメンバーにもとても感謝された。
なお、このときに作った他の料理は、
鯛の昆布〆、平目の昆布〆、
風呂吹き大根玉味噌和え、スミイカのお造り、
幌加内産の蕎麦粉を用いた手打ち蕎麦であった。
あわせた酒は、悦凱陣、るみ子の酒、
そして、コシュデュリ・ブルゴーニュ・アリゴテ、
ブリューノクレール・マルサネ・ルージュだった。

湖に雲の陰が流れていく様を眺めながら、
食べた白子鍋の味は忘れられないものだった。


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