“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第154回
純米無濾過生原酒は一時の流行か?
その4 熟成という観点

純米造りで、濾過をせず、生のままの酒は
熟成が早いので、通常の日本酒よりも味乗りがよくなる。
さらに、原酒は加水をしていないので、
熟成時の水とアルコール分子が混ざり合って
クラスター状態を作るのが早い。

熟成の一つの効果に、
水のクラスターとアルコールのクラスターが分離していたものが
混ざり合って、味のバランスがよくなるということがあるが、
通常の日本酒は醪を絞った酒に加水を行い、
アルコール度数を下げている。
そうすると、加水で用いた水が
なかなかアルコールとなじまずに、
水が浮いている感じが新酒の頃にはしている。

加水した日本酒の水とアルコール分子が一体化して
クラスターを構成するようになるまでは時間がかかる。
それを、原酒だと早く達成できるというメリットがあるわけだ。
このように、純米であること、無濾過であること、
生酒であること、そして、原酒であることは、
熟成という観点でつながった意味を持っている。

純米無濾過生原酒を新酒の頃に飲むと、
まだ若さが目立っている。
化粧をしていない分だけ、
その造りの個性がよりはっきりと確認できる。
まだ、あらあらしい状態で飲んで、
その酒がいつ頃に味乗りして飲み頃かを予測することは楽しい。
そして、その予測した時季にその酒を再び飲んで、
それが当たりかはずれか確認すると、いい勉強になる。

地酒専門の小売店であっても、
この熟成という概念をあまり分からずに
商売している酒屋が結構ある。
そのような酒屋は、新酒の味だけで
酒の良し悪しを判断してしまい、
その先の熟成してどれだけ旨くなるかということには
思いも行かないようだ。
純米無濾過生原酒の真髄は熟成させて飲んで見て、
初めてわかるものだ。


←前回記事へ 2005年3月17日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ