“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第163回
サヨリは春の味

サヨリというと、脂が少なく淡白で上品な味わい、
さらに、綺麗な銀鱗をまとった細身の魚体のスマートさ、
半透明の身の美しさで、まさに春を感じさせてくれる。
刺身、酢〆、椀種、天麩羅、干物と何にしても美味しい。
サヨリはダツ目でサンマ、トビウオが仲間らしい。
そういえば、下あごが尖っていることを除けば
サンマとはよく似ている。
昔はサンマをサヨリと偽って売っていたこともあるらしい。
水面下を矢のように走り、
追われたときにはトビウオのように空中に飛び跳ねるという。

以前、鳴門大磯崎の漁師の村公一君から
サヨリを30尾くらい送ってもらったことがある。
正月のときで、まだ20cmくらいの小さめなもの。
鱗を包丁で丁寧に除き、肝を掻き出し、大名卸で3枚にする。
力はいらないが綺麗な身をとるには丁寧な仕事が必要だ。
サヨリのお腹は外見とは逆で真っ黒。
外見は綺麗だが、
男から金を搾り取る腹黒の美人によく例えられる。
このときは、さらに、鱸(スズキ)3尾、
鯔(ボラ)10尾を捌いたので、
いい包丁使いの練習にはなったが、
完了したときにはさすがにぐったりと疲れた。

刺身にして、その上品な甘みと、ぷりっとした食感を楽しんだ。
半透明で皮目の銀色が混ざった身は、
特別なものを食べている気にさせる。
酢〆、昆布〆もうまい。

サヨリの干物がこれまだ美味。
開いて干してもいいし、丸干しでもいい。
塩はふってもいいが、海水程度の塩水をつくって漬ける、
「たて塩」が塩のつかり方が均一になって便利。
塩の濃さは開きか丸干しかによって、微妙に変える。
表面積が違うからだ。
陰干し、天日干しどちらも旨いが、
気のせいか天日干しのほうが甘みがでるような感じがする。
半日干して、炭火で炙って食べれば最高だ。
サヨリは捌くのが楽なので、
ぜひ自宅で色々と料理をしてみることをお勧めしたい。


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2005年3月30日(水)

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