“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第176回
煮物は強火で

最近、服部栄養学園の中山先生から、
プロの和食の煮物の技を教えてもらう機会があった。
ちょっと意外なのは、強火で煮るものが多いことだ。
特に煮しめは、最初から最後まで強火で煮る。
汁をほんの表面にからめて、奥までは浸みこませない。

最後に汁を残さないのがプロの技だそうで、
その煮上がる寸前に鍋を返して汁を具にからめる。
そのタイミングが少しでも遅れると焦げつくので、
瞬時の判断が重要だ。
鯖の味噌煮、南瓜の煮物も終始、強火だ。
他の煮物でも最初は強火で炊いて、
途中で中火に落とすものが多い。
煮茄子のように弱火でことことと煮込む料理ももちろんあるが、
肉じゃが、里芋のおぼろ煮、薩摩芋のレモン煮など、
最初は強火で一気に煮る。

強火でも中火でも落し蓋をする。
これは、熱を効率よく通す役割だけではなく、
汁が対流して、勢いよく落し蓋の内側にぶつかり、
具材の上までまわって味を浸みこませる効果がある。
西洋料理でレードルで具材に煮汁、油などをかける方法を、
落し蓋が自動的にやってくれるので、
和食調理法を発展してきた
日本人の知恵の高さがうかがい知れる。
さらに意外なのは味付けは最後のほうに回すものが多い。
特に醤油は煮上がる直前に入れたりする。
例えば、鯖の味噌煮であれば、
みりんと酒と味噌は沸騰前に入れておくが、
砂糖は沸騰後であり、醤油は最後の味を整えるときに入れる。

具体的な手順としては、下記のようになる。

(1)水を鍋に入れ酒、味醂を入れてスライスした生姜を入れる。
(2)沸騰してきたら、鯖の切り身を皮を上にして鍋に敷き詰める。
   砂糖を入れる。
(3)落し蓋をいれて少しおさえつける。
   沸騰して煮汁が落し蓋の上まで回るようになってきたら
   溶いた味噌を入れる。
(4)まぜずに再び落し蓋をして、鯖が煮え立つまで煮る。
   あげる直前に醤油を入れる。

新鮮な鯖を用いることが必要だが、
味噌を桜味噌を仙台味噌などと合わせることで、
美味しい鯖の味噌煮ができる。
煮物は汁がほとんど残らないように調理するのがプロの技だ。


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2005年4月18日(月)

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