“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第238回
秋鹿のラインナップを楽しむ

我々の学科では4年生は『総合研究』という科目を必修で学ぶが、
これはいわゆる卒業論文を作成するための研究活動であり、
学生側からみても、教員側からみても
大学4年間の最後の仕上げである。

その卒論の中間発表会が最近行われたが、
そのあとで、学生の発案で我々の研究室の打ち上げが開催された。
大学の会議室を使って、乾き物とピザなどの出前を注文し、
ビール、日本酒などを飲むという簡便な宴であった。
集まったのは学生約15名。
集めた日本酒は、2週間前くらいに
蔵元から直接取り寄せておいた秋鹿のラインナップ。
秋鹿は全て純米造りをするようになったが、
そのなかで、下記の銘柄を選択していた。

秋鹿『精米80%山田錦』2004年醸造年度
秋鹿『精米80%雄町』2004年醸造年度
秋鹿『みぞれ霙もよう』2004年醸造年度
秋鹿『純米無濾過特別純米原酒もへじ』2004年醸造年度
秋鹿『精米70%山廃』2002年醸造年度
秋鹿『無濾過生純米吟醸原酒 嘉村壱号田』2000年醸造年度

まずは、『霙もよう』を開栓。
これは、滓がらみの発泡酒であり、発泡性が強いときもあって、
1升瓶の栓を何も考えずに開けると、
一気に酒が噴出して半分も残らないことになる恐れがある。
そこで、賢明な方法は、千枚通しかアイスピックを用いる手法。
これを栓の上からハンマーで打ち込み、
瓶内と外が小さい穴で通じるようにする。
アイスピックを少し抜くと、
プシューという音とともに瓶内圧力が下がってくる。
機を見て栓を抜く。
これを利き猪口につぎ、学生と味見をする。
口のなかに細かい泡が踊るようで、快適な刺激があるが、
一方、秋鹿の持つ芳醇でキレのよい味わいが
舌に適度にまとわりつき、快適だ。
学生たちも旨い、旨いと飲み進む。

精米80%のものは、栓を開けて3週間は経過していた。
中身を見ると山田錦を使ったバージョンの方が、
雄町を使ったものより、少なくなっている。
同時に開栓して、瓶の残りの量を比較するのは単純だが、
飲み手の気持ちに正直な比較評価だ。
今の時季はまだ雄町はバランスが取れていなくて、
米の個性だけが目立つ。
山田錦はすでにバランスがとれている。

山田錦で作った酒は優等生的な味わいになることが多い。
造りの過程も醪経過が予測しやすく、失敗は少ない。
広がり、深みのある味わい豊かな酒になる。
一方、雄町は山田錦よりも世代の古い米で、扱いが難しい。
そして、旨くいったときはキレのある個性的な味になる。
それが熟成するとさらに凄みさえでてくることがある。
他のバージョンの秋鹿も楽しみになってきた。


←前回記事へ

2005年7月20日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ