“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第264回
馬頭の契約栽培の種蒔

栃木県の馬頭は起伏に富んでいて、
段々畑や田圃が森を切り開いて点在している。
その景観は、まさに日本の典型的な田舎の風景。
学生時代に田舎を旅した記憶が蘇り、懐かしさを覚える。
蕎麦以外でも椎茸などの野菜の栽培は盛んで、
森に入れば山菜を積むこともできる。

そんな馬頭の山の上のほうに、
今年から契約栽培をお願いしたTさんの畑がある。
今年は2反ほどの面積で栽培を試みる約束になっている。
約束の8時に畑に到着。
契約栽培参加者の数名が待っていた。
今回の種蒔は自分たちでやり、
あつまれない栽培イベントは
Tさんが農家の方々を集めてやってくれるというので、
自家栽培とは違って、気楽に蕎麦栽培を楽しめる。

Tさんの2段の畑のうち、
上部が我々の契約栽培にあてたもの。
畝をつくって手撒き、手刈り、天日干しと、
手作業主体に栽培を進めることになっている。
種は栃木県の在来種を使用することにした。
昨年までの自家栽培での常陸秋蕎麦との違いも楽しみだ。

下の段の畑は、Tさんがばら撒きして、機械で栽培するとのこと。
同じ地勢で、同じ種。
栽培方法だけが違うので、
出来た蕎麦の比較をするのが、楽しみだ。
また、栃木県のもう少し南でいくらか気温も高い芳賀町では
自家栽培を同じ種でやっているので、地勢の違いも楽しめる。

前日までに耕起と畝造りをTさんが機械でやってくれていて、
その畝の溝に一同で種を撒いて行く。
種蒔は簡単なようで、結構慣れが必要。
ボーリングのリリースのような形で、
畝の先のほうまで一度に撒く。
この撒き方だと効率はいいが、種を均一に離すのが結構難しい。
撒いたあとは、足で土をかけていく。
これを「ふんがけ」と呼ぶらしいが、
おそらく「踏み掛け」というのが訛ったものであろう。

8時をすぎて時間が経つと
日差しがだんだんと強くなってきて、身体が汗ばむようになる。
途中で休んで水気をとり、久しぶりの農作業に話がはずむ。
全部撒き終わった頃には汗びっしょり。
しかし、心地よい満足感が残った。
ここのところ力仕事をしていないので、
農作業で汗まみれになることは、本当に気持ちがいい。

作業を終了してから、小川町の公共温泉につかり、汗を流す。
農作業後の温泉は、これまた気分が爽快だ。
その後、大田原市にある養蜂業者を訪問し、
ミツバチを馬頭の畑に置いてもらうようにお願いする。
蕎麦は他花受粉なので、
花が咲く時季に昆虫が来ないと実ができない。
快く承諾してもらう。

そうしているうちにお昼になる。
再度、西那須野の『胡桃亭』で蕎麦切りを堪能。
さらに、宇都宮の北の大谷を訪問し、
大谷石採掘場をちょっと見学。
この採掘所は後楽園球場1個分の大トンネルが地下にできていて、
戦時中は中島飛行機が秘密工場として使用していたこともある。
このなかでコンサートを開催されることもある。
夏でも10℃前後の気温で、ひんやりとしているので、
ある蔵元さんはここに日本酒を保管して熟成させている。
壮大な規模のトンネル空間は、近くに来たら必見の観光スポットだ。

そして、大谷の良心的な地酒販売店である「菊地酒店」を
久しぶりに訪問して、菊地さんにご挨拶。
冷蔵保存してある熟成酒を購入した。
菊地酒店をあとにして、3日間の栃木でのイベントが終了。
とても盛りだくさんで、思い出に残る休暇だった。
今後の蕎麦の育成が楽しみだ。
また、今後の蕎麦栽培イベントに日程を合わせて、
美味しい企画を考えていきたい。


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2005年9月1日(木)

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