“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第268回
ミラノの極上リストランテ

今回の出張では、学会の懇親パーティが連日開催されていて、
そちらはコストを抑えているようで、
あまり旨いワイン、料理は味わえなかった。
それで、パーティも中座して
近くのリストランテで口直しに行ったりしていた。
ふらっと入った店は結構クラシックなイタリー料理屋が多く、
なかなか美味しい店が多かった。

学会開催中で、1日だけパーティイベントが無い日があったので、
この日はガンベロロッソ
「イタリーのリストランテ2004」(イタリー語)に載っている
美味しそうな店に行くことにした。
このガイドブックは100点満点で店が評価して
点数がつけられている。
配分としては、料理60点、ワインの貯蔵20点、
サービス10点、部屋の雰囲気10点というように、構成されている。
ワインを除いた一人あたりのお勘定も
掲載されているのが便利だ。
イタリー語の電子辞書は持っていっていたが、
調べるのは大変なので、とりあえず、点数がまあまあ高くて、
値段もそれほど高価でない店を検討した。
その結果JOIAというリストランテを予約して夕食に行ってみた。
店構えはモダーン。
上品そうな客で賑わっていた。

まずは、フランチャコルタ・ベラヴィスタ・グラン・
キュベ・ブリュット・ロゼ2000を食前酒として注文。
61ユーロという結構な価格だったが、
とてもきめ細かいスプマンテで食欲がわいてくる。
お品書きを見ると、
前菜2種、パスタ、メイン、
デザート混みの魚介類のメニュー(定食)が75ユーロ。
こちらを注文した。

前菜でまずびっくり。
横長の皿の上に4種類のグラスが乗っていて、
その中に液体、固体が茶、赤、白、緑など
綺麗に彩られてプレゼンテーションされている。
料理の名前もユニークで「左から右側へ」という。
蟹、シーバス、海胆、アンチョビなどの魚介類を調理して、
バルサミコの酸味やハーブなどと合わせたもの。
左から右に行くにつれて味わいが変化して、
口のなかが爽快になっていく。

また、もう一つの前菜である「落葉を踏んで」という料理では、
イクラ、海胆などが細長い皿に彩られ、
道に落ちた紅葉を模擬している。
これもなかなか美味。
合わせたワインはフリウリのボルゴ・デル・ティグリオ。
爽やかでよく合う。

パスタがまたびっくり。
カネロニとラザーニヤの選択であったが、
カネロニは巨大なものが一つで、
湯葉まきのような極めて薄いパスタで
野菜、魚などをまぜたものを包んである。
食べるとパスタはほろりと崩れ、
なかの帆立、ポロネギ、トリフ、小海老、ズッキーニの味わいが
同時に口のなかに溢れてくる。

ラザーニヤは食べなかったが、
同席した仲間のものはグラスの中に
赤オニオン、烏賊、地中海のロブスター、
シシリーの茄子が和えてある。
大変綺麗な料理だった。

メインは2種類の選択。
一つはシーバスとサーモンのシャブシャブ。
もう一つは、鰈の燻製ウイキョウとポテト和え、
蒸し鰈のラタトイユ添え。
どちらも、やはり綺麗なプレゼンテーションで、繊細な味付け。
合わせたワインは、
パオロ・マンツォーニのバローロ・メリアメ2000年。
キレがあって、綺麗にしあがったバローロで、魚介類によくあった。

ミラノで、クラシックなイタリアンを食べ続けていて、
アンティパストの量の多さに辟易していた、
身体にはちょうどいいモダーンイタリアンであり、
繊細で極上の味を楽しめた。


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2005年9月7日(水)

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