“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第282回
今年の蕎麦は豊作の予感

昨年は台風が何回も日本列島に上陸して、
蕎麦は近来稀に見る不作になった。
そのために、今年の蕎麦粉の値段は異常に高くなり、
しかも、国内産の蕎麦粉が不足しているために、
国内産のものに海外の蕎麦粉を混ぜて売られることもあった。

台風の上陸が多いと何故蕎麦が不作になるかというと、
蕎麦は他花受粉といって、2種類の花が相互に受粉し、
同じ種類のものでは受粉しないからだ。
蕎麦にはめしべがおしべより長い長柱花と、
めしべがおしべより短い短柱花の2種類が同じ畑で同時に咲く。
同じ株には同じ種類の花が咲き、
その数はだいたい半々になっている。
この長柱花と短柱花の受粉を介在するのは蜂などの昆虫である。
花が咲き乱れる時季には
たくさんの虫たちが畑の中で
飛び回っている状態にあることが望ましい。
台風が来て雨が続くと虫たちは飛べなくて、受粉が少なくなるし、
さらに、強い風によって蕎麦の株が倒伏してしまうことになる。
それで不作となる。

今回の栃木県馬頭で行っている蕎麦の契約栽培では、
蜜蜂の箱を畑に置いてもらった。
大田原にある養蜂所にお願いしたものだが、
花が咲いている時季にずっと置いていてもらえる。
先日花見とステビア撒きの作業を兼ねて
契約栽培蕎麦畑を見に行ったところ、
蜜蜂は元気に飛び回り、畑一面に白い花が咲き乱れていて、
まるで白い絨毯が敷き占めてあるかのような景観であった。
台風も今年は直撃を避けられたので、
これからの受粉は順調に行われることと思われる。

自然の摂理として感心させられるのは、
長柱花と短柱花の受粉が実に効率よく行われる点だ。
というのは、長柱花に止まった蜂の脚には
足先のところに花粉がつくが、
これは短柱花のめしべにちょうど受粉させる位置であり、
また、短柱花にとまった蜂の脚には足の根元に花粉がつくが、
これがちょうど長柱花にだけ受粉させることになる。

今年の蕎麦は我々の契約栽培のものはもちろん、
全国で豊作となりそうな予感がする。


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2005年9月27日(火)

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