“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第290回
玄界灘のアラ

学生たちと別れて、
週末は大学時代の親友が小唄の会に出るということで、
一人で博多に残った。
親友夫妻と合流して、
案内されたのは、中洲の小さい割烹料理屋。
ご主人は玄界灘の魚にこだわっているという。

まずは、提供されたのはフクのぶつ切り。
豪快に厚めに切ってある。
これまで食べたフクとは違い濃い味わい。
もちろん上品であることは変らない。
広島の地酒が燗で提供されるがとてもよく合った。

フクよりもさらにびっくりしたのが、アラ。
最初に刺身で提供されたが、ぷりっとした食感に、
きめ細かい脂を含んだ旨みがいっぱい乗っている。
アラは土佐でよく調理される。
太平洋のものをクエという名で鍋などにするが、
玄界灘のアラは魚の種類は同じでも、味わいが全然違った。
こんなに味わい豊かな魚だったのかとびっくり。
アラは深海に生息するらしいが、
玄界灘は川からの養分が豊かに満たされていることと、
海底近くも流れが急であり、
それで、しまったおいしい身になるとのこと。
土佐の方には申し訳ないが、
太平洋のクエとは食べて別物と感じる。

そのアラのカマ焼きがまた秀逸。
脂はいくらか落ちて、旨みだけが残っている。
他の焼き魚とは違って、
しまった肉質の凝縮した旨みを感じる。

その後も玄界灘の幸を堪能した。
先日訪問した「お半」とはまた違って、
野趣あふれる豪快な料理の数々に、とても満足できた。

その次の日は、博多で鮨屋としては一番注目されているという
「なか川」を訪問。
こちらは、モダーンな建物のなかで、握りだけではなく、
色々な料理も提供される。
刺身、握りはもちろん、
朝鮮人参の素揚げ、松茸の炭火焼などもいただいた。
お造りは極上。
握りはご飯は少なめで、ネタが大きい。
江戸前とはまた違った味が楽しめた。

博多は歴史を感じる文化が根付いている。
そんな街で食べる玄界灘の幸は、本当に幸せを運んでくれた。


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2005年10月7日(金)

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