“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第308回
なまずの刺身

栃木県馬頭温泉の「いさみ館」にまた宿泊する機会があった。
自動車技術関係の学会の委員会として、
ツインリンク茂木の
アクティブ・セイフティ・トレーニング・パークで
最新運動制御システムを搭載している自動車を
試乗する催しが開催されたのだが、
終了後の懇親会会場選定を委員長から頼まれ、
いちおしで推薦したことによる。

十名ほどで6時過ぎに木造一軒家の旅に到着し、
まずは温泉で汗を流す。
この宿の温泉はそれほど大きくはないが、
木で作られた舟の形をした露天風呂もあり、
そこから那珂川の流れが正面に見える。
ぼんやりと川の流れをみながら湯につかり、
ぬるっとした湯あたりで温まっていると、
時間がゆっくり流れるのが感じられる。

夕食が開始された。
今回も地元のいい食材にこだわった
素晴らしい料理が次々とでてきた。
刺身は白身のものと、白身に赤い色が濃くついている2種類。
真っ白なほうは、ペヘレイという外来の川魚。
赤いほうがナマズという説明。
両方とも馬頭高校の水産学科で養殖をしているものを
取り寄せているという。
ペヘレイのほうが味が淡白そうだったので、
そちらからいただく。
なにか、サヨリを大きくしたような脂の乗った淡白な味わい。
ねちっとした食感もとてもいい。

次にナマズ。
刺身は初めてだと思う。
これが、またすばらしく上品な旨みがあって、
美味このうえない。
ナマズといえば、
なにか泥臭いかのようなイメージを持っていたが、
どうしてどうして、
こんな美味しい魚であったとは知らなかった。

馬頭の近くの湯津上村の天鷹純米吟醸「心」生酒を合わせる。
地元どうしのなんとも言えない相性を感じる。
天然の魚としてはカジカを丸焼きしたものが提供される。
頭からばりばりと食べると香ばしさが口のなかに溢れる。
さらに、また馬頭高校で養殖されているヤシオマスの餡かけ。
虹色に脂の乗った綺麗な魚肉で、気品のある味わい。

他にも、馬肉のすき焼き、天然一本しめじ、などなど、
次々と地の食材を堪能。
馬頭温泉は観光化されていないので、
このような料理とサービスだけで売っている宿が存在する。
それも格安の値段。
夕食・朝食込みで一泊一万円だった。


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2005年11月2日(水)

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