“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第313回
日本酒の品質基準策定の提案

現在の日本酒を管理している法律は酒税法であり、
いかに日本酒に税金をかけて国庫を豊かにするかという観点で、
日本酒の仕様、製造、出荷管理は規制されている。
これでは日本酒の品質基準を規制していることにはならない。

では、品質の高い日本酒とは
どのような酒のことを言うのであろうか?
この問題ですら、公の場で議論されたことはあまりないようだ。
私が考える品質の高い日本酒とは、
『熟成して旨くなる酒』である。
これには、反対意見も多いと思うが、
ワインの品質を考えてみれば極めて妥当な考え方と思う。

新酒で比較しても、前々回に書いたように、
ワインのボージョレーヌーボーの
飲みやすさの鑑評会を行っているようなもので、
品質の高さとは相関は無いと思える。
かえって、新酒で骨太で飲みにくい日本酒のほうが
熟成して旨くなる可能性が高い。

このような、熟成してこそ旨くなる酒が
品質の高い酒だという考え方はワインではすでに定着している。
早飲みできるワインは、それなりに価値があるが、
やはり、熟成させてこそ旨くなるワインが
高い品質ランクに設定されて、
消費者もそれに高いお金を支払うことをいとわない。

さて、では、熟成して旨くなる日本酒を
どのように基準を設けて選別したらよいのだろうか?
これは、しっかりとした造りの純米酒ということを第一に置いて、
そのために造りで必要となる要素を洗い出して、
基準とすることがいいのではと思う。
例えば、原料米の種類、育て方。
原料米の処理方法。打た瀬の温度の低さ。
あるいは、(もと)造りの日数。
醪(もろみ)日数。
そして、最後に官能評価も必要だが、
これは、新酒のときに
熟成して旨くなるかどうかの判断ができる人間でないとならない。

このように、日本酒の品質基準を作ることを、
日本酒業界が自主的に行うか、
酒類研究所が新酒鑑評会とは別に行うことが望ましい。
しかし、私の声が日本酒業界に聞こえても、
そうなることはなかなか難しい。
というのは、日本酒の大手メーカーの製造している日本酒は、
このような品質基準に入らないものが大半であるからだ。
大手メーカーが賛成をするわけはない。
また、酒類研究所も
カプロン酸がぷんぷんする吟醸酒の評価の歴史が深すぎて、
すぐに、私のような考え方に変るとはとても思えない。

そのような観点では、
消費者側から品質基準を策定して、
評価するNPO組織のようなものを立ち上げるしかない。
これは、私一人では現在はなかなか難しい。
どなたか賛同して、
一緒に行動してもよいという酒好きが現れたら考えたい。


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2005年11月9日(水)

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