“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第323回
美味!ヤシオ鱒のチャンチャン焼き

ヤシオ鱒を食べるのは2回目。
前回は馬頭高校で養魚しているものを
馬頭温泉の「いさみ館」でいただいて、その実力に驚いたものだ。
それで、今回も地元の食材ということで仕入れることにした。
最初は馬頭高校に問い合わせたら、
西那須野の関根養魚場を紹介される。
今回の宴会参加者の一人である村上さんのお店
「胡桃亭」のすぐ近くだ。
村上さんに仕入れをお願いしたら、三枚に卸して持ってきてくれた。

ヤシオ鱒というのは、
虹鱒を栃木県水産試験場がバイオテクノロジーで改良したもの。
卵を持たないので、それに栄養分を取られることが無く、
大きな魚体で脂が乗っている。
これを村上さんのアイディアで北海道で鮭の調理法である
「チャンチャン焼き」にすることになった。
村上さんが鉄板で調理。
さすがにプロは手際がいい。
鉄板に油をひいて、
50cmはあるヤシオマスの切り身を乗せて塩をふり酒をかける。
その上にエノキ、もやし、人参、
玉葱、キャベツなどの野菜を乗せる。
そして、さらにその上にアルミホイルで全体を覆うように乗せ、
蒸し焼きにする。
チャンチャン焼きは初めてだそうだ。

いい香りが漂ってくる。
あたりはすっかり暗くなっていて、
静けさのなかに焚き火のバチバチという音が目立ち、
メラメラと燃える炎のあやしさが、心の隙間に入り込んでくる。
畑の周りには人家は何もなく、
鬱蒼と茂る木々が黒々と囲んでいて、
森の精霊の声が聞こえてくるようだ。
そんな幻想にふけって世俗のことを忘れて酒を酌み交わす。

非日常の極みのなかで食べるヤシオ鱒のチャンチャン焼きは、
寒さを忘れるほどの旨さだった。
熱々の鱒の身を口に含むと、香ばしい香りが鼻まで抜ける。
噛むとじわっと甘みが姿を見せる。
鱒だけではなく、野菜がとても旨い。
鱒の香りが乗り、鍋とは違ったしゃきしゃき感がいい。
これを「すっぴんるみ子」の燗と合わせると、まさに、超舌至極。
まだまだ、食材の一部を消費しただけだが、
相当の満足感を覚えてきた。


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2005年11月23日(水)

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