“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第360回
刺身の美味しい食べ方を発明?

偶然の産物なのだが、刺身の新しい食べ方を思いついた。
刺身といえば、たいていは醤油と山葵で食べることが多いだろう。
居酒屋、割烹に行くとこれに色々なツマをつけたり、
また、出汁と合わせたり、チリ酢で食べたりと
バリエーションがひろがる。

いずれにしても、醤油をつけすぎると、
魚本来の風味が分かりにくくなるので、
醤油の量はなるべく少なくするのが旨い食べ方。
そういう意味で、
以前紹介した豊中「桜会」(さくらえ)の満田さんの発明した
醤油をエスプーマで泡にして付ける手法は理にかなっている。

高級な和食屋では醤油を出汁で合わせることが多いが、
この出汁は昆布と鰹節でとったもの。
醤油が柔らかな味になり、
淡白な味わいの白身魚などには特に適している。
しかし、この手法については、
もともとのその魚のアラで出汁をとっておいて、
それを醤油と合わせればさらにいいのではと思っていた。
しかし、面倒なのでいままで自分で試したことはなかった。

今回は、正月の三日目のこと。
この日は大学時代のバンドのOBで
毎年新年会をメンバーの自宅で持ちまわりでやっている。
今年も先輩のお宅にお邪魔し、美味しい料理を堪能したが、
刺身を作ることを頼まれていた。
そこで、前の日に使う予定の村公一さんの鳴門の鱸を多めにとり、
さらに、築地で天然平目を仕入れておいて、
当日サクで持っていった。

このときに、鍋の食材も余っていたので、
野菜、鴨肉も持参したが、
前日の鱸の出汁、鯛の出汁も残ったものを
ペットボトルに入れて冷蔵庫に保存しておいた。
ところが、鱸のほうだが、美味しそうな煮コゴリになっていた。
これは鍋に使うのはもったいないので、
煮コゴリだけで食べようかということに現地でなったのだが、
ここでいいアイディアがひらめいた。

鱸の刺身を食べるときに、煮コゴリを醤油で味付けして、
それをからめて食べるという手法を思いついた。
早速試してみる。鱸のプリッとした食感に
煮コゴリのプルンとした旨み成分がからんでいる。
噛めば鱸の上品な脂が旨みになり、
それに煮コゴリの旨みが溶け出して、
口のなかになんともいえない幸せが訪れる。

フレンチで肉に、
同じ肉でとった出汁のジュレをかけて食べる方法があるが、
まさにその和食版。
偶然が美味しい食べ方の発見につながった。
今年もいいことがいっぱいありそうだ。


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2006年1月13日(金)

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