“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第361回
鮨屋での不思議

江戸前の鮨屋に行くとどうも、周りの客は私の食べ方とは違う。
だいたい二通りのタイプがあるようで、
酒類を飲むか飲まないかに分かれるようだ。
酒を飲まない客は最初から握ってもらい、
お茶を飲むという単純なパターン。
酒飲みでも鮨屋ではお茶しか飲まないという一途な人も多い。
飲む客の方はまずつまみを頼む。
そして、鮨種をいろいろと切ってもらったり、
炙ってもらったりして、
まずはビール、そして日本酒、焼酎などへ進め。
稀にワインを飲む客もある。

酒が済むと握ってもらってお茶になる。
もちろん、鮨の食べ方は人それぞれ。
どう食べても自分が美味しいと思う食べ方をすればいい。
しかし、私の鮨屋での過ごし方はこのどちらの食べ方でもない。
そして、同じ食べ方をする客をあまり見たことが無い。

どうしているかというと、これも極めて単純。
つまみはとらず、最初から握りで飛ばし、そして、酒も飲む。
酒はもちろん日本酒の燗。
なじみの鮨屋では持ち込み料を払って
数種類の銘柄の日本酒を持参し、
鮨種に応じて変えてマリアージュを愉しむこともある。

何故このような食べ方をしているのかというと、
鮨種は酢飯の上に乗って
一番美味しく感じられるように仕事がしてあるからだ。
それを刺身で食べるのは同じ料金を払っては、
もったいなくて食べられない。
鮨屋側も実は鮨種は握って食べて欲しいと思っている。
しかし、刺身を要求するお客が多いこの時勢のなかでは、
刺身を出さざるを得ないのだ。

そして、鮨を食べるときはお茶というもの発想が狭い。
ご飯はお茶でという日本人の感覚か、
あるいは、もっと通の人は
数寄屋橋「次郎」の小野次郎さんの本などに書いてあるように、
鮨屋で酒を飲まれると鮨を出すタイミングを失って
ギクシャクする、というような理由から
鮨屋では通はお茶を飲むものだと理解しているのだろう。

ところが、次郎さんが書いているタイミングをはずすという話は、
酒を飲み始めるとせっかく握った鮨をほったらかして、
隣の仲間と話を長くし始める。
鮨は握った瞬間が一番美味しいから早く食べて欲しいという。
それでないと、次の鮨を握るタイミングを失う
という事象を指している。

つまり、お酒を飲んでも、
しっかりと鮨をタイミングよく食べていれば、
親方の調子は狂わないのだ。
そして、しっかりと味付けされた酢飯は燗酒にとてもよく合う。
それで、私は握りを最初から食べながら燗酒を飲んで、
他の客の数倍は美味しさを愉しんでいる。


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2006年1月16日(月)

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